【紙博&布博in京都レポート】地元記者が選ぶ!心ときめいたブース 布博編
一生かけても使い切れるか分からないカラフルなマスキングテープの山、もう入れるものが見つけられないけれど集めてしまう巾着袋やポーチ、眺めるだけで幸せな気持ちになるメモ帳…。私・加藤華江の家には、こういったものがたくさんあります。
今、「あるある!分かる~」と思った読者の方は、このイベントについて一度は聞いたことがあるかもしれません。手紙社(東京都調布市)主催の「紙博&布博」です。東京や神戸でも開催されているので、行ったことがある方もおられるでしょう。
2023年4月22日、4年ぶりに京都で開催されたこのイベントに、同僚の廣瀬聡子さんと行ってきました。廣瀬さんは紙博を、私は布博を担当し、本当に一部分ですがイベントの魅力や、出店者さんについてご紹介します。
▼紙博&布博in京都とは
まずは概略から。その名の通り、「紙」と「布」にまつわる作り手さんたちが出店する催しで、包装紙や紙箱、便せん、メモ帳などあらゆる紙もの、手芸素材や服、織物など、あらゆる布ものが並びます。今回、京都には紙関係87、布関係54の作り手が、北海道から九州まで全国から集まりました。会場のみやこめっせ(京都市左京区)は、手紙社が屋内で主催するイベントとしては最大規模だそう。
同イベントを取りまとめる北村葉納さんは「作品や作家さんとの出会いを楽しめるコンテンツ。関西からもたくさん出店しているので、地元の作り手さんを知ってもらう機会にもなったら」とのこと。
▼「紙ものお裾分けっこ」参加してみた
いよいよ入場です。入り口をくぐると、広いフロアにブースがたくさん! それぞれの取材に散らばる前に、2人で一緒に来場者参加型ブース「紙ものお裾分けっこ」に向かいます。来場者が手持ちの紙ものをラッピングして持ち寄り、交換するコーナーです。新品に限らず、数種類のメモ帳をめくって詰め合わせたり、半分残っているシールを入れてくれていたり…。すっごくわくわくしませんか!
私はラッピングするときから、「どんな人がもらってくれるかな」「気に入ってもらえたらいいな」「自分では買ったことのないものに出会えたりするかな」と、ドキドキが止まりませんでした。
私は数色のマスキングテープを紙袋に詰めました。廣瀬さんは、生き物をモチーフにした付せんやメッセージカードを包んだそうです。
コーナーの棚に置き、交換するものを選びます。みなさん、包装がかわいい!リボンを結んでいたり、おしゃれな包装紙を使っていたりと、工夫されています。2人でひとしきり悩んだ末、私は白と水色の便せんが目を引いた袋をもらいました。廣瀬さんは、ブルーのリボンがかけられた包みを選んでいました。開けるのが楽しみ~。
▼「Tetra-milieu」
廣瀬さんと別れ、いよいよ布博です!最初に私が引き寄せられたお店は「Tetra-milieu」(テトラミリュー)さん。お店のまわりに爽やかな風が吹いているような雰囲気がすてきで気になりました。
京都の奥嵯峨を拠点に、姉妹でテキスタイルデザインをされています。「日本の伝統的な柄を未来につなげる」がコンセプトだそう。鮎や山鳩、葦などさまざまなモチーフでデザインし、全て手捺染という技法で染めています。
現在は姉妹2人とも産休中。店舗はしばらくお休みで、今日は久しぶりにお客さんと会う機会だそう。過去にも京都で開催された布博に出店していたといい、姉の北村美和さんは「布や紙が好きな方ばかりと会える、活気あるこのイベントを楽しみにしていた」と話してくれました。
私は白地にみずみずしいグリーンと水色で描かれたサルスベリのデザインが気に入りました。ポーチやコースターにも惹かれるけれど、なんというか、このデザインをまといたいと思いました。手芸は好きだけど、ど素人の私。北村さんに、「あの、この生地でスカートを作るのはどう思いますか」とおそるおそる聞きました。「とってもいいと思います!」の言葉に背中を押され、思い切って2メートル分購入です。
▼「Veriteco」
早速の出会いに幸せ気分で次のお店へ。会場を進むと、テーブルを円形に並べた、ひときわおしゃれな外観のお店が目に入りました。こちらは瀬戸内海に浮かぶ香川県・豊島で草木染めをする「Veriteco」(ヴェリテコ)さん。島で自生しているものや、自分たちで種をまいて育てた植物を材料にしているそう。
染めた糸を使い、刺繍をほどこしたアクセサリーやエプロンなどを並べていました。何の草木を使っているのか聞くと、鮮やかでありつつ優しい黄色はタンポポ、グレーは栗だと教えてくれました。ほかにも藍や桜など、さまざまな植物を使い分けていて、思いのほか身近な植物もあり驚きました。
京都での出店についても伺います。ディレクション・製作をする浅田美樹雄さんは「目の肥えた方の多い京都に合わせて商品を選びました。草木染めは和装にもよく合いますよ。対面のイベントなので、島のことや、作品の背景をお話できるのが嬉しい。紙好きさんにも喜んでもらえるように、和紙で作ったペーパーフラワーも並べています」と話してくれました。
確かに、わき水で米作りをしている島の環境や、材料にする植物への思いなど、知れば知るほど作品が輝いて見えます。
▼他にもいろいろ
会場内には、たくさんすてきなお店がありました。小さな花を編み、繊細で美しい花束のようなアクセサリーを仕立てる「cotoyo matsue」さん。
0.4ミリの細さの糸を使い手編みしていて、受注販売もされているそう。私はイヤリングに見とれ、大量に写真を撮らせてもらいました。
日本各地の職人さんたちと、暮らしに寄り添う物作りをされている「salvia」(サルビア)さんでは、新潟で作っている締め付けのない靴下の制作工程を教えてもらいました。柄物靴下を作る際に出る余り糸を使うシリーズもあるとのこと。足のむくみに悩む私にぴったりすぎて、柄物と余り糸シリーズを1足ずつ購入しました。
あぁ、この原稿を書いている今も、布博の余韻が続いています。思い出すだけで楽しい。2時間30分の取材時間では全て回ることはできなかったので、次の機会を待ちたいと思います。
加藤 華江