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銀河ヒッチハイク・ガイド D・アダムス/河出文庫

 2020年、未知のウイルスが世界中の人々を不安に陥れました。まだウイルスの全容が知れない中、学校や幼稚園は休校になり、街角からは人の姿が消え、私たちの「ステイホーム」が始まりました。そんなころ、見直されたのが読書でした。読んだことのないジャンルに挑戦、家族と一緒に読書など、普段と違う時間が作れるかも。そのお手伝いとして、京都新聞社の記者がそれぞれ思いを込めた一冊を紙面で紹介しました。あの頃の空気感も含め、note読者の皆さんにも紹介します。

笑ってパニック回避

「DON’T PANIC!(あわてるな)」。今、最も必要な言葉が表紙に書かれたSFコメディーの怪作。時には頭を空っぽにして、壮大なほら話に身を任せてみてはどうだろう。

 ある日突然、地球が消滅。主人公はなぜかヒッチハイクで銀河を右往左往し、ドタバタの末に宇宙の究極の謎に迫る。壮大なスケールにとぼけた語り口、皮肉の効いたユーモア満載で、徹底して物事を笑い飛ばす姿勢が痛快だ。

#宇宙のすべての答え

 当然ながら、この本が提示する「究極の謎」の正体は究極にくだらない。全生命の悩みの答えがそんなものだとは。でもまあ、ひとまずは「何それ、あはは」と笑った方が、楽しい1日を迎えられると信じたい。
 興味があればグーグルで「生命、宇宙、すべての答え」と検索してみてほしい。この愛すべき銀河の謎が見つかるはずだ。


小西貴久