第6回読書会 ギュスターヴ・フローベール『感情教育』読書会 開催報告
2024年11月9日にギュスターヴ・フローベール『感情教育』読書会を開催しましたので報告いたします。zoomにて開催し参加者は3名でした。複数の翻訳がある小説ですが、参加者は全員光文社古典新訳文庫で読んだようでした。
1848年二月革命を背景に、主人公フレデリックと彼を取り巻く恋愛模様を描く小説でした。
参加者からは以下のような感想が出ました。
・退屈な箇所(特にはじめの方)と非常に小説的な時間が流れている箇所とが分かれる小説だった。
・描写が綺麗。描写が好きな箇所に付箋をつけていたら付箋だらけになった。
・主人公の恋愛感情の移り変わりに理由がはっきりしないところに逆にリアリティーがあった。主人公が傍観者であるという点もリアルに感じた。
・『感情教育』は教養小説の逆。登場人物が全然成長しない。
・アンチクライマックスな終わり方。物語の始まる前に回帰する。ある種「夢オチ」的な終わり方?その直前のアルヌー夫人とのエピソードで終わってもよかったか?あるいはセネカルがデュサルディエが死ぬところで終わってもよかった?
・革命運動を背景に登場人物の思想が紆余曲折するところが、日本の60年代の学生運動と似ているかも?特にセネカル。
・光文社古典新訳文庫版は、注釈が充実していてよかった。
・アルヌー夫人の描写、美しくて色っぽい、時間の流れで容姿に衰えが見えるラスト近くのシーンが切なかった。アルヌー夫人の描写だけでなく、恋人ごとに綺麗な描写があって、そこが印象に残った。風景の描写に内面の揺らぎを託すタイプの小説。
・アルヌー夫人と関係を持たないことによって、クライマックスが引き伸ばされ、他の女性たちとの関係が発展していくとともに、アルヌー夫人への想いが純化されていく。その手法が見事。
読書会の課題本とは別に、参加者から最近読んだ本、気になった本を紹介いただきました。
第7回の読書会は12月21日(土)19時30分から、モアメド・ムブガル・サール『人類の深奥に秘められた記憶』を課題にし開催します。初めてのご参加、zoomでの参加も歓迎ですので、ぜひご参加ください。お申し込みはPeatixにて受付しております。