漢字力と語彙力を同時にアップさせる方法
以前、ベトナムの学生から「先生、漢字がどうしても覚えられません・・・」と悲愴な表情で相談されたことがある。
そのときは、「何回かよく見て書いて覚えて。何なら、トイレかどこかにでも書いて貼っておくといいよ」などと答えていた。
今となっては、ちょっと反省。そうやって書いても覚えられないから、相談に来ているのに・・・・
漢字は表意文字だ。だから、ほとんどの漢字が意味を持っていて、見れば大体の意味がつかめる。
日本語上級クラスで「幹」という字を教えていた時のこと。この字の本来の意味をきいたところ、教室の男子学生が「木の太いところです」とゼスチャーつきで説明してくれた。
その通り。木の中心になる部分が「幹」。ここが折れると、木は枯れる。だから、重要な部分だ。この大まかなイメージを頭の中に描いておいて、例を見てみる。
「幹部社員・宴会の幹事・幹線道路を建設する」
会社の中で中心の社員は「幹部社員」、宴会・パーティーで中心になって世話をする人が「幹事」、主要な道路の「幹線道路」。
一応、共通のイメージが見て取れる。これなら、言葉の意味は分からなくても、「幹」の漢字の意味が分かれば、大体の言葉の意味が推測できるはずだ。
ちょっとレアなケースもあるけれど、(漢字は数が多いから)、字の本来の意味を図でも文字でもいいから、イメージができると漢字力、語彙力、そして推察力なんぞもアップするのではないかと個人的に思う。
この字をじっと見つめていると、不思議に太い木の幹が頭の中で重なってくる。この状態の写真をパチリととるように、視覚的に覚えてもOK。書いて覚えてもOK。無機質に何回も書くよりも、よく理解した上で数回書けば、覚えやすいのでは・・・と思うのだが。
漢字って本当によくできているなあ。改めて、漢字の持つ奥深さに触れた思いだ。すでに多くの先生方も、実践されていることだろう。そして学生達も1つ1つ前向きに漢字に取り組んでくれることを、願うばかりだ。
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