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「THE CROSSING」が 教えてくれたもの

中国映画「THE CROSSING~香港と大陸をまたぐ少女~」を、見に行って来た。

中国・深圳に母親と住む女子高生ペイ。毎日、香港にある高校に越境通学している。両親は正式には結婚していない。ただ、父親が香港人、ペイ自身も香港で生まれているので、香港で学ぶことが可能なのだ。
しかし、大陸人の母親は、麻雀とお酒ばかり。父親には香港で別の家庭がある。どこにも居場所がないペイは、ひょんなことから、香港で買ったiPhone6の大陸に持ち運ぶという密輸を行うことに。(香港のiPhoneは、関税の関係で安かったから)そこから、ペイの人生は大きく変わってしまう・・・

ネタバレになるから、あまり詳しく書けないけれど、この映画を見て驚くことばかり。

まず、香港と深圳は普通に電車で行けて、通関はまるで、大きな駅みたい。1日に何万人もの人が行きかうのだ。これは、国境がない島国日本に住んでいる日本人の私には、ちょっと不思議で異次元な感覚。

また香港と中国の越境問題と、それにともなう子どもの教育も複雑だ。日本なら、同じ区、市などの中で、越境入学するイメージが強いけど、ここでは、国家体制が異なる両地域間での越境だ。

中国語(普通語)→広東語と英語と、使われる言語も当然違う。現在でも多くの子どもたちが、越境して学んでいるそうだ。

この映画は、他にも香港の裏事情や、文化、経済問題など多くの視点からも見ることができる。中国人の女性監督 白雪(バイ・シュエ)さんは、構想や取材に2年余りかけて、この映画を撮ったそうだ。だから、今を映すこんなリアルな現実に、一瞬言葉を失ってしまった。

私自身、深圳出身の学生も教えたこともあるし、香港からの学生も、今、教えている。若い彼らの背景には、こんなにも複雑で、心が痛くなることもあったんだ。一言では言えない、様々なものがないまぜになった気持ちと、隣り合わせで生きてきたんだな。

私の心に、強く刻まれた映画だった。



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京すずらん
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