留学生たちの「目は口ほどに物を言う」
日本語学校で教えていて、必要以上に見てしまうものがある。
それは、学生達の「目」だ。
来校する学生たちは、当然ながら皆マスクをしている。顔の部分で出ているのは、もちろん「目」だけ。
まさに「目は口ほどに物を言う」ということわざは、言い得て妙だ。だから、どんな時でも「目」を見て判断せざるを得ない。
授業のとき、学生達がほぼ理解していてくれたら、マスクの下でニコリと笑っていることが多いから、目じりも少し下がる。おお、何となくわかってくれたかな?じゃ、次に進んでもいいな。
今までわからなかったことが、この瞬間パッとわかったときに、学生達の「目」がキラキラ輝く。ウルウルしたところに、きらめきが加わる感じで、それがクラスにいる学生のほとんどなら、本当にきれいなのだ。
ああ、私はこの瞬間を見るためだけに、こうして教壇に立っているんだなと、思わず幸せな気持ちになる。
しかし固まってしまったような、ちょっと乾いたような「目」だったら、まだ頭の中で混乱している可能性が高い。これは、まずい。もう一度わかりやすく伝えなければ。
また、ちょっと濁っているような、本来の輝きがない「目」の学生もいる。SOSを送っている「目」。悩みが深刻で、自分でどうしていいかわからず、袋小路にいる状態。そんなときは、何となく元気がないから、ちょっと話そうかと言って個別に話を聞くことになる。
コロナ禍の前は、マスクをしている学生はほとんどいなかったから、顔全体で様子をうかがうことができた。しかし、この現状では「目」だけが情報源。
それにしても「目」がここまで、いろいろなことを教えてくれるとは。お互いの「心」も、同時に伝えてくれる。あらためて「目」の持つ力に驚くばかり。
学生たちのキラキラ輝く「目」。これからも、見つめていたい。
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