言葉の森で迷子になったときの脱出方法
日本語上級クラス文法の時間でのこと。
この日は日本語能力試験N1の「~を余儀なくされる」が学習項目。
意味と使い方を導入後、テキストの例文を確認して、学生各自に、正しいものを2つから選ぶ問題をやっているとき。
タイ人女子学生のNさんが頭を抱えている。
私「Nさん、どうしたの?」
Nさん「この言葉の意味がわからないんです」
大臣は不適切な発言がもとで(a 辞任 b 責任)を余儀なくされた。
彼女は「不適切」の意味がわからず、先に進めないようだ。携帯で調べようとする彼女に、(所属先では、意味を確認するときなどは使用可)
「ちょっと待って!」と小声で叫ぶ。(普通、叫ぶとき声は大きめだけど、今は皆、問題やっているから)
私「じゃ、この発言は、良い発言?悪い発言?」
Nさん「う~ん、悪い発言ですね・・・」
私「そう!じゃ、何かわからないけど、悪い発言をしてどうなった?」
Nさん「あ、辞任。大臣は、やめなければならなくなった!」
私「OK!その通り。100%意味がわからなくても、いい意味か悪い意味かを考えるだけで、大体の内容は、つかめるよ」
Nさん「そうか・・・わかりました!!」
と、マスクの下でNさんは満面の笑み。
こういうことは、日常茶飯事。特に読解では、1つの言葉にとらわれてしまって、文章全体の意味を把握できない学生が多い。
1つ1つ意味を調べないと、気がすまない学生もいる。
でもでも。試験のときは何も見られないよ!自分の頭の中にあるもので全て、考えないとね。
私も経験がある。英語の長文読解で、わからない単語がいくつか出現。そのとき、この言葉はプラスの意味か、マイナスの意味か。それとも、どちらでもない中立の意味かと考えてみた。
大体の見当をつけるだけでも、迷っていた森の中から、無事に脱出できる。これでなんとか数回、生還できた。(こうならないように、日頃から語彙力つけないと、あかんけど)
とにかく学生達には、わからなければすぐに調べるのではなく、自分の中で大体の意味の見当をつける習慣をつけてほしいと強く思う。
こういった工夫というか応用力というのは、磨けば磨くほど感度が良くなるように思えるから。
私自身も、日本語だけでなく英語や中国語の文章をもっと読んで、言葉に対する感性を磨き、語彙力をつけなくちゃ・・・・
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