ブドウ畑の”開墾”ビフォーアフター
昨年から約1年がかりでほぼひとりで開墾してきた雑木林も、立派に葡萄畑に成ってきました。
笹藪かつ大きい樹も数本植わっていて、齷齪しながらの作業。
チェンソーを使いつつ、翌年植樹するので除草剤を使わずひたすら草刈り。
ただの草刈りではありません。笹も背丈が高いので切りづらく、草刈り機もツタで絡まるのでいちいち止まりながら、そしてそもそも藪なのでノコギリで小さい木もその都度切りながら。
なんとも地道ですが、業者に依頼すると何百万円とかかり、コロナ最盛期で行動制限ということもあり時間はあったので昨夏から毎日コツコツと進めてきました。
若さとパワーとタイミングと。再現性はありません。笑
最初から緩い斜面だったわけではなく、中腹に1~1.5メートルの石垣があり、上面と下面とでそれぞれ平らな土地でしたが、石垣はバックホーで全て壊して一面として均しました。
整地され植樹された状態から畑に訪れた方は「綺麗な斜面のちょうど良い土地があったんですね」とおっしゃられますが、違うんです。”ちょうど良くした"んです。
見違えるように変わりました。
ということで、ビフォーアフター。
①初めの段階。2020年9月。
鬱蒼とした雑木林を全て地道に刈り進めていく。
②2020年11月。
2ヶ月間かけ草刈りが終わり、バックホーで切った木たちの抜根作業。
穴を掘っては燃やしていく。何回燃やす作業をしたことか。
そして草刈りもとても大変でしたが、その後の笹の根の除去が何より大変でした。
竹と同じで生命力が強く、根がちょっとでも残っていれば芽を出して跋扈するので、丁寧に除去。
③2020年12月
手作業では話にならなかったので、バックホーで全面天地返ししつつ、土を柔らかくして、腰を痛めながら冬の寒い中ひたすら根を引っこ抜く作業。
寒いと土も凍り作業にならないことも。
10年は放置されていた農地なので、消毒の意味合いもかねそのまま寒気に晒す”寒ざらし”をして土壌をリセット。
2メートルはあるてんこ盛りの笹根の山が計5つ。
しっかり1週間は乾燥させて、風の向きと強さと天気とが良い日を狙って焼却処分。
④2021年2月
バックホーの排土版を使って綺麗に均しました。
農業というよりもはや土木の作業。
笹根の分、少しだけ地盤沈下したような印象。
⑤2021年4月
苗木の植え付け作業。
支柱を先に設置すれば後々楽になるのは重々承知なのですが、時期なのでまずは植え付け優先ということで。
以上、約1年間のダイジェストでした。
写真奥には海が見えます。
リアス式海岸ゆえの”入り江”なので、”半島”がたくさん。
左奥は広田半島、中央奥は唐桑半島です。
海が見えるこの畑で、海のブランドを纏う「アルバリーニョ」を植えています。
この畑だけでも上と下とで土質が異なるのですが、基本「花崗岩土壌」です。
そもそも岩手自体が複雑な土壌で"ジオパーク"になっていますが、
陸前高田市はほぼ全体が「氷上花崗岩」というゴンドワナ大陸から日本に合体した4億5千万年前の土壌です。
花崗岩土壌は普通、軟水になるのですが、どういうわけか陸前高田の水は「硬水」です。
古い地質が何かしら影響し、水にミネラルをもたらしているということでしょうか。
畑はそんなわけで、全体ではないですが石が結構ゴロゴロ転がっている箇所もあります。
少し離れた別の畑では”サラス”という砂地の花崗岩が風化した土壌になります。
これは”アルコース”とも呼ばれます。アルコースとは花崗岩が分解または花崗岩に似た岩石のことです。
アルコースについては後々記事にします。
この岩手特有の”三陸ジオパーク”を活かすために、あえて土壌アプローチが世界トップクラスのフランスのアルザス地方にも修行に行っていたわけです。
どういう土壌にどの品種を植え理論的にアプローチを取ればいいか。
何でもかんでも植えればいいというものでもありません。
さて、これからのブドウの成長がワクワクです。
他にも絶賛開墾中の畑はあるので、後々またレポートします。
そのうちぜひ畑にいらしてくださいな。