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畑の土を「寒ざらし」させる

1月5日から暦では「小寒」であり、節分までの寒さが最も厳しい「寒の入り」となった。
20日「大寒」までの、この小寒の時期に行う作業のひとつとして「寒ざらし」がある。

必ずやらなければいけない作業ではなく、その生産者の哲学や必要性によってやってもやらなくても正直どちらでも良い。

こんな感じ。耕す前と耕した後。

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奥の方は写真を撮る前にやってしまっていたので、手前の様子をば。

バックホーを使って地表30〜50cmほどをガッツリ掘り起こしていく。
もはや天地返しと寒ざらしを兼ね。
こんなに大がかりにバックホーで寒ざらしする人もあまりいないのではなかろうか。
手間もかかるし重労働なので。

しかし寒ざらしを行うメリットとして、
①土の中で越冬しようとしている害虫やウイルスを寒気と太陽光に晒すことで駆除しリセット・消毒する。(ただ、良いバランスも崩れる可能性がある)
②団粒構造を作りフワフワな土にして根を張りやすくするため。保肥性と排水性も向上させる。(土中の水分が寒気で凍り春に向け暖かくなるにつれ溶けホロホロと自然に土が崩れる)

というメリットがある。

ここの畑はずっと耕作放棄地であったものの、傾斜地で、上はもう原野化しかけており正直まだ笹藪地下茎除去の作業が終わっておらず、下のほうは10年ほど前まで畑として使われておりそれから草刈りだけは続けて管理していたので作業が楽で、まるで別の土地のようになっている。

下の土地が粘土質っぽくて、傾斜地ゆえに水が集まりやすいので一応耕作放棄地だしリセットの意味合いも込めやっておくか、ということで寒ざらし。
雪国ではあんまりやらない作業かもしれない。

②の団粒構造も大事だけれど、これも”耕すor耕さない論争”があるので本当にその生産者の哲学による。

自分から言わせれば、耕すと土は柔らかくなり根張りは良くなるが、土が柔らかすぎると今度は踏ん張りが効かなくなり倒されやすくなったりするので「適度な固さ」であることが大事だとは思う。
団粒構造も結局一時的なものに過ぎないと思っているので、根穴構造の方も意識しないとね、とも思う。
根が張るのは栄養価よりも土の柔らかさのほうが重要であったりもするし。

耕していないのに一般にはないくらいすごく成長したりもするし、なんで?!となることばかりでつまるところ「バランス」が大事だけれどいやはや謎なことが多い。

「古木であるほうが良い」と言う人もいるけれど、一概にはそう言えずちょっとブランディングというか信仰に近いところもあり、個人的にはケースバイケースとしか言えず「古木こそ良い」というのはちょっと懐疑的に見ている。

ブドウの根の長さも基本30〜50cmくらいで、「海外では50mも根があるんだよ」なんて未だに言ってくる人もいて、確かにあるかもしれないがあっても正直それは神話に近いと思っている。


そんなこんなで、農業に「正解」という正解はなく、自分で探って対応して正解を見つけていくのが農業であり面白いところだよな、とは思う。ただ、あんまり奇々怪々なことをしてもそれは知識不足だし、「正しい」方向に導いてあげるのが生産者の”腕”ではあると思う。


寒ざらしに雪がわずかに積もったら雪山が連なっているような良い感じの写真が撮れたのでパシャリ。

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及川恭平/ドメーヌ ミカヅキ🍷
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