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記野式:サクッと!ゲーム業界講座 10月前半号

こんにちは。なんと2023年も後半、あと3か月を切りました。怒涛の東京ゲームショウ(TGS)2023 を終え、ようやくノーマルライフが戻りつつありますが、欧米はこれからが年末商戦ですのでゲーム業界としてもまだまだ目は離せません。

11月には韓国釜山で行われる「G-Star 2023」に初参戦しようと考えています。こちらも来月後半号でレポートできるかと考えています!

最近寒くないですか?なんだか「夏」から「冬」へ劇的に移行していますね。食欲の、読書の、芸術の「秋」を返してほしいものです。

本記事での為替レートは1ドル=149円で計算しています。


<記野式まえがき:ハリウッド映像業界のストライキがほぼ解決!が…ゲーム業界に波及!>

記野式でも8月前半号のまえがきでお伝えした通り、今年5月から、映画やドラマなどの脚本家たちの組合である全米脚本家組合(WGA:The Writers Guild of America)が、7月にはそれに追随して俳優、声優、パフォーマーたちの組合である映画俳優組合 - アメリカ・テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA:Screen Actors Guild American Federation of Television and Radio Artists)もストライキに入りました。

お伝えした通り、焦点はレジデュアル(Residuals)、つまり二次使用料を含む報酬の話。そして、脚本によるAI使用、パフォーマーのAIスキャンの規制です。詳しくは8月前半号を読んでくださいね。

1.ハリウッドはWGAと暫定合意!

9月25日(アメリカ現地時間)、5か月にもおよぶストライキとその膠着状態が続いていた中、WGAはスタジオ側(AMPTP:Alliance of Motion Picture and Television Producers)と暫定合意に達しました。

暫定合意内容については細かくは開示されていないのですが、WGAによると、下記が大枠の中身のようです。

<WGAとAMPTPの暫定合意大筋概要>

ー 報酬に関して
SVODにおける動画配信作品が一定以上視聴されれば、脚本家にボーナスを支払う仕組みを新たに導入すること、その元になる視聴時間データをWGA側に開示すること

ー 脚本における生成AIの使用に関して
生成AI利用を認めつつも、AIが生成したものは素材とみなさず、脚本家の権利侵害はされず、制作会社は脚本家にAI使用を要求できないこと。
生成AIの使用をめぐる法的状況は不確実だが急速に変化が期待されるため年2回以上の頻度でAIの使用状況について制作会社側とWGAが協議すること。

政府機関の介入なしで成立したことにより迅速にことが運びました。ストによるピケ(Picketing:ストライキの事業所等に見張りを置き、スト破りの就労阻止、加入者へのストライキ参加の促進、一般人へのストライキのアピール等をする行為)は既に中止となっています。

しかしながら問題は、AMPTPとSAG‐AFTRAの合意がなされていないことです。脚本家たちがシナリオを書いても、俳優たちがストライキをしている状況では映画やテレビドラマは作れませんからね。

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