記野式:サクッと!ゲーム業界講座 11月後半号
こんにちは。めっきり寒さを肌で感じるようになりました。秋はあっという間に終わり極寒の冬がやってくるかと思うとこわーい。笑。新型コロナ感染症はもちろん、風邪をひかないように気を引き締めて年末を迎えましょうね。
さて、11月も後半になり、最近ではアメリカだけでなく日本でも「Black Friday(ブラックフライデー)」をセールの日として認識するようになりましたね。ホントにすごいんですよ、本国は。今号はアメリカ市場報告を含みますから、まえがきでアメリカのホリデーシーズンについて解説してから本文に入りたいと思いまーす。
今回の為替レートは1ドル=115円で計算しています。早速行きましょう!
<記野式まえがき:アメリカのホリデーシーズンをきちんと説明します!>
アメリカの10月度売上データNPDを報告する前に、アメリカの年末についてきちんとお話をしようかなと思います。
我々はどうしても「年末商戦」というビジネス側からカレンダーの見方をしてしまうのですが、そもそも年末商戦は「ホリデーシーズン」と言うアメリカ人にはワクワク感のある名前で呼ばれています。
日本で言う正月休みやゴールデンウィーク、中国や韓国で言う旧正月とかなんでしょうけど、大きなお休みのまとまりのこと。欧米の場合は年末に大きなお休みが集中するのでそういう言い方をしますが、具体的には10月末のHalloween(ハロウィーン)、11月末のThanksgiving(サンクスギビング)、12月のChristmas(クリスマス)の休暇のことを指します。
1.Halloween(ハロウィーン)
ハロウィーンは、厳密に言うと10月末日の1日だけ、しかも晩だけのこと。カトリックでいう万聖節(All Saints' Day)の前の晩(10月31日)に死者の霊や魔女、精霊が現れると言われていました。
かぼちゃをくりぬいて「ジャック・オー・ランタン (Jack-o'-lantern)」の顔を作り、中に蝋燭を立てて悪霊を追い払うというお祭り。
この晩には、モンスターや魔女に仮装した子供達が近所を回って「Trick or treat!(お菓子をくれないといたずらするぞ)」と言ってお菓子をもらうのが伝統的なイベント。
アメリカでは、ハロウィーンの前になるとみんながこぞってかぼちゃを買いに行き(スーパーや特設会場などで大小のかぼちゃが山積みになっている)、仮装用のコスチュームや飾り物を選んで盛り上がるんです。ただし仮装は昼間で、夜は静かに家族で死者の霊を迎えます。
なので…仮装するお祭りって思ってる人…一部あってますがそうじゃないんですね。死んだ人の霊をお迎えすると言う意味ではむしろ日本でいうと「お盆」にあたるかな。
ちなみに、ハロウィーンは実はアイルランドで生まれたお祭りです。ケルト暦で10月31日が夏と冬の境界日であるため死者の魂が戻る日と考えられていました。悪霊に目をつけられないように妖精や悪魔などの姿をしてかわしていたという習慣から仮装の概念になったようです。この習慣がアメリカに伝わったのですが、実は「ジャック・オー・ランタン (Jack-o'-lantern)」はかぼちゃではなく「カブ(Turnip)」でした。
アメリカにはそんなにカブはないため、かぼちゃに変わったんでしょうかね。いずれにしてもアイルランド→アメリカ→日本に導入されて日本ではまったく違う意向でお祭り騒ぎになっているのがおもしろいところです。
2.Thanksgiving(サンクスギビング)
サンクスギビング(Thanksgiving)、そのまま訳すと「感謝祭」です。11月の第4木曜日(ってことは今年は25日)と決まっていますが、収穫祭とも言われていて秋の実りのお祝いですよね。国民の祝日です。
日本で言うところの「勤労感謝の日」に近いのかな? と思いきや、日本ほど感謝の気持ちは希薄ではなく、一族が集まって七面鳥(中に詰め物をして)を焼いて食べる晩餐会をします。
(1)Black Friday(ブラックフライデー)
そして!そのサンクスギビングの翌日が、皆さんがよく聞くでしょう「Black Friday(ブラックフライデー)」です。サンクスギビングの翌日はアメリカでは正式の休暇日ではないのですが、続けて休暇になる(木金土日と4連休にする)ことが多く、ブラックフライデー当日は全米の小売店が大きなセールをします。
なぜブラックか?最近では「ブラック」はあんまりいい意味で使われることが少なくなりましたね、ブラック企業とか(笑)。でも、このブラックフライデーは「小売業者が儲かり黒字になる」から。
でもでも…実はこのネーミング、警察がしたんですよ。当初は買い物客が殺到して小売店が繁盛することで、外に人が溢れて警察官の仕事が増えるため「真っ暗な金曜日」と呼んだのが始まりだそう。あ、結局いい意味じゃなかったんですね!笑。
ブラックフライデーは、アメリカの小売業界では1年で最も売り上げを見込める日とされているのです。したがって現在の時期はニュースサイトでも項目の一番初めに「Black Friday Deals(ブラックフライデーの特売情報)」が上がってきちゃうくらいですからね。
(2)Cyber Monday(サイバーマンデー)
サンクスギビングの翌週の月曜日が「Cyber Monday(サイバーマンデー)」です。サンクスギビングの4連休後の月曜日に、自宅や職場に戻った人たちがオンラインショッピングをしてECサイトの売上が急増することからそう呼ばれています。
しかーし、アメリカのオンラインショップは「サイバーマンデー」と言いながらもセールの長期化/前倒し化が進んでおり、サンクスギビングデー、ブラックフライデーからセールをしていることが多く、実店舗のブラックフライデーに影を落としています。
わざわざ混みあった実店舗に行かなくてもセール価格で購入できて家まで運んでもらえるわけですから、自然の流れかな。
3.Christmas(クリスマス)
12月は言わずと知れた「クリスマス」。サンタクロースがプレゼントをしてくれるって意味では日本にはちゃんと伝わってますね(笑)。クリスマスカードを送ったり、クリスマスプレゼントを家族や友人、恋人と交換するのも。
クリスマスツリーと言えば、12月になるとクリスマスツリーの木が特設会場(野外)で売られているをよく目にします。
日本と若干違うところは宗教的な意味も兼ねていることでしょうかね。お休み~♪っていうことに加えて、家族の時間を持つってことが結構重要みたいです。
昔は年末商戦とは言わず、クリスマス商戦と言われました。クリスマスプレゼントを買いにみんながショッピングに行くので、それを当て込んで商品を準備するんですが、最近はハロウィーン、サンクスギビング、クリスマスぜんぶひっくるめて年末のホリデーシーズンと称して商品投下を行うことが多くなりました。
そもそも、クリスマスにモノを発売しても、そんなギリギリにプレゼントを探す人はいないから、やっぱり10月11月に投下しておかないと話にならないのです。ということで実際には12月上旬までに発売しないと「商戦」に参戦したことにはならんのです。
いずれにしてもアメリカにおけるホリデーシーズンの3か月(10月~12月)はアメリカ年間消費の半分以上の売上規模を誇ります。昨今ではAmazonをはじめとしたオンラインショップの猛攻でどうしても「その日」に買う必然性は低くなったとはいえます。
しかしながらアメリカでホリデーシーズンにものを買うというのはすでに「習慣」になっていて、財布のひもが緩んでいるのは確かです。このホリデーシーズンを商機ととらえ「年末商戦」として新しい商品を投下するのは正しいことなのでしょう。
<2021年10月 米国市場動向 NPDデータ分析!>
年末商戦真っただ中、クリスマスまであと1カ月!超アツいゲーム市場アメリカの市場概況を今月もお届けしていきますよ~。
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