記野式：サクッと！ゲーム業界講座　　10月後半号

こんにちは。残暑が厳しかった10月前半を乗り越えてようやく寒さを感じ始めるようになりました。秋ですね～。と言っているとすぐに冬がやってきます！緊急事態宣言も明け、ようやく飲食店の規制も撤廃されそうですから徐々に日常が戻ってくるでしょうかね。

いよいよソニーの大きなフランチャイズ『Uncharted（アンチャーテッド）』の映画化が実現してTom Hollandが演じる ネイサン・ドレイクとMark Wahlbergが演じるサリーがお目見え。 

予告編はこちらからご覧いただけます。

映画は『Uncharted（アンチャーテッド）』のゲーム内容をそのまま踏襲しているわけではなく、複数のシリーズから要素を取り入れているようです。

敵役としてAntonio Banderasも出演するなどかなりのAAA感。

2022年初めに発売されるPlayStation 5/PC向けの『Uncharted: Legacy of Thieves collection（アンチャーテッド トレジャーハンター コレクション）』は、PlayStation 4の名作『Uncharted 4: A Thief's End（アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝）』と 『Uncharted: Lost Legacy（アンチャーテッド 古代神の秘宝）』を1本にしたリマスター版です。

アメリカでは、このリマスター版発売の直後になる2022年2月18日に劇場公開予定です。「Uncharted」シリーズを知ってる人はもちろん、知らなくても楽しめそうな映画です。日本の公開時期は発表されていませんがぜひ劇場で観たいところです。

さて、10月後半号ですから9月のアメリカ市場データNPDの分析から参りましょう。おっとその前にまえがきはアメリカの10代の消費者の嗜好。Piper Sandlerがティーンにアンケート調査をした結果を発表してくれたので、まずはこちらから。これから大人になって消費経済の真ん中に立つティーンエージャーのトレンドを見てみましょう。

今回の為替レートは1ドル＝114円で計算しています。

＜記野式まえがき：アメリカのティーンエイジャーの嗜好！＞

アメリカの投資銀行Piper Sandlerが半年に1度の調査「Taking Stock With Teens（ティーンエイジャーの嗜好と評価）」を発表しました。8月17日～9月16日にかけてアメリカの44州のティーンエイジャー10,000人（平均年齢15.6歳）に、ブランドやサービス嗜好について幅広い質問を行いました。

１．ティーンのお金の使い方

アメリカの10代の若者は手持ちのお金をどんな配分で使っているのでしょう？

男子は「食べもの」が一番の使い道で前年同期比で横ばい。「ゲーム」は前年第2位（17％）から第3位にダウン。「衣料品」は前年同期比横ばいで16％で「ゲーム」を抜いて第2位にランクインしました。

女子は「衣料品」が1位を維持しています。「食べもの」は2位。第3位は「コスメ/スキンケア」で、2020年秋から1％ダウンしています。

ティーンはクレジットカードを持つことがほとんどできないことから、8割以上の子供たちはキャッシュ（現金）で買い物をしています。親から許された額のApple PayやPaypal、プリペイドカードなども使われてはいますが、キャッシュが圧倒的なようです。

２．ソーシャルメディアの嗜好：アメリカのティーンはFacebookとTwitterが嫌いなんだって！

この調査で印象的だったのは、アメリカではTwitterとFacebookが10代の若者にはまったく人気がないソーシャルメディアであることが分かったことでしょう。

一方、好きなのはSnap社の「Snapchat」が約35％で、2位の約30％の「TikTok」との差を広げました。3位はFacebookの「Instagram」で、1年前の調査では31％、春の調査では24％だったのに対して22％と減少しました。FacebookとTwitterはともに2％！しか好意を持たれていないようです。

実際にティーンが使っているソーシャルメディアとしてはIntagramがナンバーワンですが、Snapchatも負けていませんね。ソーシャルメディアを利用している時間は１日当たり4.2時間を限度にしているとのことでした。結構やってるね～。

これから大人になり、社会に中心になってくるティーンからそっぽを向かれるわけにはいかないですから…なぜFacebookがティーンのエンゲージメントを高めようと画策しているのかがわかりますね。

ここでアメリカのティーンに人気の「Snapchat」。2011年にサービス開始以来日本でも一定のバズリはありましたが、競合Tiktokなどに比べれば100%日本向けにローカライズされていないためイマイチ広まらなかったようです。

ヤングが「Snapchat」、「TikTok」や「Instagram」など写真や動画を共有するソーシャルメディアに集中する中で、Twitterはセレブ（政治家、芸能人、文化人）に、Facebookはベビーブーマー世代（1946年～1964年生まれの人）に愛されているとのこと。

これらのソーシャルメディア企業は、次世代のユーザーの取り込みに必死になっています。

Instagramはキッズ版が立ち上がるところでしたが、世論の批判を受けて一時ストップしています。Facebookは、このInstagramキッズ版を使用する子どもを親が監督できるような仕組みを用意してから開始すると語っています。

最近Facebookの内部告発をしたFrances Haugen氏は、 FacebookはInstagramが10代の少女のメンタルヘルスに与える負の影響を把握しておきながらそれを明らかにしなかったと暴露しています。

SNSを駆使するティーンはどんなセレブやインフルエンサーが好きなんでしょうか？

ちなみに両方にランクインしているラッパーのKanye Westは最近改名してYe（イェ）になりましたね。

３．エンターテインメント

（１）映像コンテンツ（SVOD）

アメリカの10代の映像消費を見てみるとまだまだNetflix がダントツではありますが、2020年秋から2%減の32%、ちょっぴりシェアを落としています。
2位はYouTubeの30％。拮抗していますね。

3位のHuluと5位のDisney+は、2020年秋からは徐々にシェアを上げています。いわゆる日本でいう「テレビ」がCable TVに当たるのですが、ものすごい勢いでティーンのテレビ離れが進んでいることがわかります。

（２）ゲーム

ゲームはどうでしょうか？コロナ禍で外に遊びに行きたい気持ちを抑えていたアメリカのティーンたちですが、若干ダウンはしているものの、引き続き家でゲームを遊んでくれているようです。

では、アメリカの10代のゲーマーたちの出費はどのくらいでしょうか？

アメリカのティーンが2021年にビデオゲームに費やす金額は209ドル（約2万3千円）と予想されており、2020年秋の調査の227ドル（約2万5千円）から減少しています。これは、昨年に比べて新型コロナ感染拡大によるロックダウンが緩和されたことにより、家の外で過ごす時間が増えたことが要因ではないかと思われます。

高額のお金を持っている男子の場合、全消費金額に占めるビデオゲームの割合は、前年の17%から14％に減少しています。新型コロナ感染拡大が若者の外出を抑えた2020年春の調査ではゲームが高い支出を示していましたが、それ以来初めての「衣料品」に抜かれてしまいました。

が、パンデミック前の2019年秋の調査とほぼ同水準であることから「日常に戻りつつある」ティーンの生活なのかもしれません。

ゲームの遊び方はどうでしょうか？結構なゲーマーですねぇ。笑。