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木のボウルが教えてくれること

クリスマスプレゼントに義理の母から木のボウルをもらいました。
以前から欲しくて、買おうと思っていたのですごく嬉しかったです。
きれいに洗い、オイルでコーティングしてから使います。

大きなボウルはアカシアの木、小さなボウルはオリーブの木からできたボウル。
どちらも木の色合いや木目がみんな違います。
それぞれのボウルを眺めていたら、ふと気づいたことがあります。

形は同じように見えても、どれ一つ同じ木目や色合いのボウルはないのです。みんな似たようでいても、違っている。私が以前から持っている木のお皿はインドネシアの方の手作りだから、大きさや厚さまで同じものは一つもない。

そんな木の食器を眺めていると、「みんな違うけど、どれも素敵」と思いました。

みんな違って、みんないい

これは私がとても大切にしている考え方です。
私の娘に発達の遅れがあり、そんなユニークな個性を持つ彼女が他の人とは違うからといって差別されることなく安心して暮らせる世の中にしたい、そういう母としての思いから、この考えが来ています。

「みんな違って、みんないい」と聞いて、この考え方に反対する人はあまりいないかもしれません。でも、実際にこの考え方を実行することはそう簡単ではないというのが私の実感です。

今年の夏、3年ぶりに日本に帰り、家族と1ヶ月半過ごすことができました。私自身、母とはまったく違った考え方をしていることはわかっていましたが、いざ一緒に暮らすとなると、自分との違いがより一層気になり、気づくと心の中で母のやることなすことを批判している自分がいました。

「はっ」としました。

自分と違う考えを持っているからという理由で私は心の中で母を非難していた。
私のいいと思うものに賛成しないからという理由で私は母を批判していた。

これは「みんな違って、みんないい」とはまったく真逆の考え方。

家族だと、どうしても自分の考えに賛成してほしい、理解してほしいという気持ちが全面に出るので、賛成してもらえない、理解してもらえないとなると「どうしてわかってくれないの!」と怒りや悲しみ、さらには相手を批判するということになりやすいと思います。家族であればこそ、より理解してほしいという気持ちは強くなりますからね。

でも、私が本当に望んでいる世界は、みんなが自分の考えを「いいね!」と言ってくれる世界なのかな、と考えました。

もちろん、私はこうやって自分の価値観を文章で表現しているので、私の考えに賛同してくれる人がいるのはとても嬉しいこと。賛同してくれる人とつながりたいという思いもあり書いています。
でも、同時にみんながみんな私の考えに「いいね!」と思ってくれない可能性があることも頭のどこかではわかっています。目の前の人が自分の考えに賛同してくれなかったらどうでしょう?悲しいですよね。悲しみを通り越して怒りを感じることありますよね。
では、その人たちのことを批判しますか?批判までいかなくても好きにはなれないかもしれない。

好きになる必要はないかもしれないけど、少なくともそういう人たちが存在していてもいいわけです。もし周りの人に自分の考えが正しいと強いるのであれば、それはまさに独裁者がやっていること。

私は自分自身に聞きました。母に私の考えをいいと思ってほしいのか、と。
私が自分の意見がいいと主張することは、言い換えれば、あなたの意見は間違っていて、私の方が正しいと言っているのと同じこと。いくら自分がいいと思っていることであってもそれを他人に押し付けることはできないなと思いました。みんなそれぞれ、自分の正義や正しさというもので生きていますよね。それが必ずしも他人のと一致するとは限りません。

「みんな違って、みんないい」
私はこんな世界観を目指しています。
自分を受け入れてくれない人がいるとき、悲しいし、相手を批判したくもなるけど、「みんな違って、みんないい」が私の目指す世界だから、自分とは違う意見の人や私の意見に賛同しない人も受け入れていこうと思います。

木からのメッセージ

話を木のボウルに戻しますが、このように一つ一つ違う木目や色合いを見て、木の温もりだけではない、それ以上の自然からのメッセージを私は感じます。
もし機械で大量生産されている食器であれば、みんな同じ。みんなと違うものは不良品として外されます。

毎日の生活の中で、木目の一つたりとも同じものがない食器を使っているのと、どれもみんな同じ、違いさえ見つけることができない食器を使うのとでは、違った感性が育ちます。
木のボウルを通じて、”違いを愛でること”を教わります。

みんな無意識にこんなメッセージを木から受け取っているので、木の食器や家具を見るとプラスティックからは感じられない安心感を感じるのかもしれません。

「みんな違って、みんないいだよ」と木は囁いています。


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