タイ映画『ハッピー・オールド・イヤー』
来月タイに嫁入りする友人と見に行ったタイ映画。出てきた私たちは「このタイミングで、一緒に見られて、よかったね」と話した。私は独身、定年後も続く35年ローンでマンションを買うことにした。それぞれ人生の決断をしたところだ。
主人公のジーンはスウェーデンに留学し、かの地の「ミニマルスタイル」にすっかり影響されて実家を「ミニマルスタイル」にリノベーションしようとする。しかしタイの実家はモノだらけ。父が残した膨大な品があふれ、変化を良しとしない母親はリノベーションに断固反対する。家族のみならず言い出しっぺである自分の部屋にもモノがあふれる。一度は感情を抜きにして全部を捨てようとするものの、納得いかずに出したごみ袋を全部家に持ち帰る。そこからジーンは友達から借りたまま返していないものを返却して回る。その中には留学する時に「切った」元恋人からの預かり物もあって・・・というストーリー。
過去にほったらかしておいたことが積み重なって厄介なことになったり、いやおうなく向き合わざるをえなくなることがある。言っても、考えても仕方のないことだが、人生の決断や人との別れに「もしもあの時xxだったら」「ほんのちょっとタイミングがずれていたら」と思い返すことがある。自分が間一髪難を逃れたり酷い目に遭うこともあれば、そんなつもりはなかったのに自分が誰かの何かを彩ったり壊してしまうこともある。そのあたりがとてもリアルで、「人生ってそうだよね・・・うう」と思う。
映画『ラ・ラ・ランド』に出てくる「もしもあの時・・・」という場面で、胸がぎゅっとなる人も少なくないのでは。選ぶってなんだろう、捨てるってなんだろう、忘れるってなんだろう、選ばなかった人生ってなんだろう。そういうエグみや苦さがあって、しみじみ人生を振り返るお話。そういう感情をよく引き出したなあ、という見事な映画。スイートな映画だけではなくて、こんな感情を揺さぶる映画も時には必要。一人でこの映画を見たら、上映後カフェに直行し悶々と考え事をしただろう。日曜の昼下がり、渋谷の映画館を出た私たちは感想を話しながら坂を上り、そして青山のカフェで資産運用の情報交換をした。
もし友人があの人とそうなっていたらタイに行くことにはならなかった。もしあの時アイスランドの火山が噴火しなかったら、私は日本にいなかったかもしれない。そうだったら私はインドで彼女と会っていない。
映画21.『ハッピー・オールド・イヤー』
大阪アジアン映画祭グランプリ受賞。
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