『「ない仕事」の作り方』 みうらじゅん
確かに、みうらじゅん以前に「マイブーム」も「ゆるキャラ」も「仏像ブーム」も「いやげ物」もない。彼が手がけることは「ない仕事」である。ゆるい本だと思って読み始めたら、ノウハウがぎっしり詰まっていた。
好きなもの、面白いことをただ発信していても、誰にも見てもらえない。だから「一人電通」と称して、企画、プレゼン、接待といったあらゆることを自ら行って「ブーム」を作り出す。そんなMJの手がけた業績が具体的に紹介されていく。彼を面白い人だとは思っていたけれど、ちゃんと仮説を立てて検証を重ね、日々ブラッシュアップしているから、あの地位があるのだ。高円寺にいる変わったおじさんとは違う。MJの独特の風貌も、年相応にしているとギャラが高そうと思われてしまうので、不安そうに見せ仕事を得るための戦略だという。2冊前にマーケティングの本を読んだけれど、MJも優れたマーケターで、ビジネスマンだ。テーマがどうかしているだけで。
どんなに熱意を持って活動していても、時に人は自分の行動や信念に疑問を持ってしまうもの。そんな時のメンタルケア、自分の洗脳方法も本書では紹介されている。例えば自分のやっていることを「つまらないかもな」と思ったら「つま・・・」のタイミングで「そこがいいんじゃない!」と全肯定。それでも不安になってしまったら「不安タスティック!」とたたみ込む。使わせていただきます。
「MJってばすごい!そんな深く考えてたんだ!戦略的!」と思って読み進めていると、事例紹介の「海女(AMA)」グッズが登場したりする。「こんなちゃんと考えてやってないんじゃないの〜?思いつきなんじゃないの〜?」なんて気になるけれど、それも油断させるための彼の技なのかもしれない。ケムに巻かれてるような不思議な気分と論理的でクレバーなところが混じった本。そうだ、長年気になっているスライドショー行こうっと。
113 「ない仕事」の作り方
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