『週末、森で』 益田ミリ
早川さん、なんて素敵な女性(と書いて「ひと」と読みたい、ここは)なんでしょう。『きみの隣で(漫画253)』で知った早川さん。今や既婚者の早川さんが独身だった頃、森に住み始めた頃の話が先にあったと知り、読んだ。うん、こっちを先に読みたかったーーー!小川軒のレイズン・ウイッチとか、デメルのチョコとか色々なお土産を持ってよく遊びに来るせっちゃんやマユミちゃんたちとの話なんだもの。早川さんの口癖や、おいしいものを全国からお取り寄せしている趣味(?)も、ちゃんと現れていて、そんなの前から読んでいて続編が読めるなんてキュンキュンしてしまうではないか。無念だが仕方ない。
会社勤めではない翻訳という仕事もあって、東京(多分)から森のそばに引っ越した早川さん。いかにもスローライフしてます!ではないので野菜を育てたりはしない。前述のようにお取り寄せをしたり、ゆるい暮らしを森のそばでしている。東京時代からの友人、せっちゃんやマユミちゃんは週末なんかにやってきては、森に一緒に入ったり、早川さんの植物話を聞いたりして、当人とは違う視点、都会とは違う視点と共に東京のいつもの暮らしに戻っていく。
早川さんが程よく俗っぽいのがいい。田舎暮らし信者として文明を拒否したりするわけでもなく、都会含む全国の美味しいものを愛好し、友達の荷物をキープしておくタンスの家賃をちゃんともらう。ちゃんと人間っぽい。そして好きな植物が豊かにある森のそばに住んで、散歩をしたりカヌーを浮かべる。したいこと、快適なことをちゃんと実現していて、ちゃんと人間っぽい。あれ、これって理想の生活なんじゃないだろうか。そう思って自分に置き換えて考えてみると、今の暮らしととてもギャップがある気がしてぼんやりしてしまう。
早川さんは森のそばでイケてるゲストハウスを開いたり、町おこしイベントをしたりなんて積極的にしなそうだ。無農薬野菜を使った保存食ワークショップも開いたりしないだろう。だから会おうと思って出会える人ではなさそう。でももし会えたら、彼女のそのままのペースに影響されて私も自分のペースを思い出しそう。早川さんに会った人は、類まれな彼女を好きになるだろうなあ。『きみの隣で』で早川さんに会えた小学校の先生、そして旦那さんと子供、羨ましい!
漫画255 週末、森で
マンガサイトの『アル」で紹介を書きました!
お取り寄せも楽しむ、森のそばでのゆるい暮らし『週末、森で』
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