夕暮れ時、食事をとるためにレストランを探してハバナの町を一人歩いていた。ふと、民家の前を通り過ぎると、一人の女性がメニューを差し出した。メニューは手書きで、とてもきれいな筆記体だった。 民家の中は小さなレストランになっていて、真っ白なテーブルクロスがかけられた三つのテーブルの上にはピカピカに磨かれたお皿とグラスが並べられていた。客は私以外誰もいなかった。 椅子を引いてもらって座り、赤ワインと肉の串焼きを頼んでから室内を見渡した。壁には多分地元の画家の手による油彩画がたく