なぜ笑う?
ここ数日、いやここ数週間ずっと珈琲染に勤しんでいる。もっと正確に言ううと、布のバックをいかにキレイに縮めることに勤しんでいる。
もともと、中川ワニ珈琲から既製品では無いオリジナルの良いバックと安価なバックの2つが売り出したかった。良いバックは作るのはある意味丁寧に進めていけば出来るのだが、安価なバックをクオリティー良く作ることはかなりのハードルが高い。
「上っさん(私の旧姓)、正直エコバックでここまで凝る人いないっすよ。こんなに凝ったことしたらもうエコバックちゃいますよ。引き続きご検討宜しくお願いいたします。」
と、何度やりとりを中国とした?サンプルが出来上がっては水で洗って、収縮率の差を計算しては作り直しては、再サンプルを洗う。毎回出来上がるたびに収縮率は異なるので、正直自分でも
「もうこれはエコバックでは無くなってしまう…凝りすぎだ。」
と思うが、沖縄の友人関係に既製品でない布バック作ると大きな声で断言していたので後に引けない。作ってる最中にコロナが始まってしまい、やりとりが困難になる中、中止するいい理由になるかもと私の中の悪魔が耳元で一瞬囁いたが、サンプルの数を見ると後には引けない人とのやり取りの苦労というよりは、もう笑い話にしかならない数と時間が出来上がっていた。
「バンちゃん、ここら辺でサイズ確定するわ。後は私が頑張る。」
と本生産をGOしたところ、びっくりするサイズの布バックが50枚上がって来たので
「50枚限定」
にしてよかった…と心がささやいた。(やたらとデカイ)
さて、それから毎日、水洗いやら洗濯やら繰り返すが一向にサイズが小さくならず、ただシワが増えるだけである。
「今やエコバックは驚くほど縮まらないのか?」
と一瞬不安になった(縮まることを見越してサイズを大きくしているのだから)。が、立ち止まるわけには行かないので、珈琲染の開始である。
もともと、染色を3年学んでいる私だが草木染めより手強い珈琲の粉たちをいかに楽に染められるかを考えるのは容易なようで容易でなかった。
ある晩、水出し珈琲なら粉が最初の段階で取り除けて、大量に液が作れると気がつきそこから驚くほど、工程が楽になって染めること自体が、たのしくなった。これぐらい簡単に出来るなら、自分で染めれる方が買う人もきっと喜ぶと〝レッツ トライ!中川ワニ珈琲の珈琲染ススメ〟を作ることにした。
染める(煮詰める)工程とPCを行ったり来たり毎日していると焙煎人がその姿を見てケタケタ笑う。
「なんで、笑うんですか?」
ってたずねると
「だって、こんなに頑張って1日2枚しか出来上がらないんだろう」
と、言った。声を大のして言おう。知ってて1日2枚しか染めていないのだ。なぜなら、できれば私が染めたものより自分で染めたものをお客様には使ってもらいたいから。
こんな機会でもなけでば、やらなかったということを今は家であえて楽しむのが旬であると共有したい。
さて、今日も珈琲染を始めるのだ。販売日が確定するまで私はひたすらカバンを煮込み続けるだろう。
追伸
沖縄の友人関係筋に染めた画像を送ると色が薄いやら、エコバックにしか見えないやらまんまの返事が返ってくる。
もう一度声を大にして言おう、染めるのがメインでは無くてサイズを縮めて珈琲の風合いを楽しむのが目的なのである。写真を撮り直すたび異なる色合いに写るのだ。なぜ、目で見たまま写真は撮れないの?永遠の謎では無く、iPhoneの永遠の課題の一つだと思います。
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