わたしの看取りプロジェクト21
ご住職とコントを演じてしまった
通夜の儀式が始まる前、葬祭ディレクターのAさんが控室にいたわたしたちに「ご住職がみえましたのでごあいさつをお願いします」と言いにきました。
廊下でAさんが小声で「お布施はご用意されていますか」と聞くので、「ええ、母が持っています」と答えました。
S寺のご住職が「このたびはご愁傷様です」と言った後、わたしたちはとりとめのない会話を交わしました。
ひとつの話題が終わると、少し沈黙の時間が流れ、わたしが別の話題を切り出す、という繰り返し。
しばらくしてご住職が「では、みなさんおそろいということなので、少し早いですが始めましょう」と言い、やっと部屋を出るタイミングをつかむことができました。
儀式の後、家族葬ホールの別室で夕食を食べているとき、突然母が言いました。
「お布施!」
打ち合わせの際、お布施を渡すタイミングはAさんが教えてくれるって言ってたな。
あわててAさんに聞くと、「えっ お渡ししてない?」
あー、やっちゃったよ。
挨拶のときに渡すはずだったんだ。
あの沈黙はそういうことだったんだな。
シャボン玉ホリデーやドリフのコントでやりそうな話だなと思いました。
(2014.9)