〇〇ガールだとか〇〇女子だとか。
朝からニュースを見ていたらなんでも「美術館女子」という言葉が女性軽視だとか、性差別だとかで騒がれているとかで議論がされていた。美術館の PRの一環としてアイドルの女の子が美術館を訪れアート作品の前で写真を撮り、その写真を通じてアートを身近に感じてもらうという企画らしい。
当方とっくに「女子」なんていう時期は過ぎているので、美術館にいくだけで「女子」なんて呼んでもらえるならいいじゃないなんて思っていたらば、どうも世の中はそうでないらしい。
ニュースを聞いていた限り、今回はまず「美術館女子」という言葉やPRに登場する女性の設定から、
1. あえて「女子」という言葉をつける事で特別感をだし、それが美術館が今まで男性主体のものであったかのような印象を与えている。また、所謂「映え」る事を意識させるPRは「女性目線」を強調しており、この「女性目線」という用語も不用意である。
2. 設定としてアートに関する知識を持たない女性なので、まるで女性がアートに対して無知であるかのような軽視的な表現がされている。
3. PRでは「映え」ばかり強調されていてアートに対する理解が何も足されていない
ような事で世の女性から大変な避難を浴びているらしい。
完全に私見だが、ニュースに出ていたコメンテーターも、インタビューされていた人達もとっくに「女子」じゃない人達。そんな人達が上記のような事で騒いでもただ見苦しいと個人的には思ってしまった。とうの「女子」と呼ばれる位の年齢の人達が騒ぐならまだしも。
もちろん、年齢などは様々だから一概には言えないが、少なくとも今朝ニュースに出ていたピーピー言ってた人達は、自分たちはバブルの時に男性を「貢君」や「アッシー君」「草食男子」などと呼んでいた世代の人達だったし、それらは男性軽視じゃないとでも思っているというのだろうか。
そもそも、日本は世界に比べても若い人達が美術館や博物館に馴染みにくい国。行けば堅苦しく、静かにしろだとか、写真をとるなだとか、立ち止まるなだとか、とても気軽に普段美術館や博物館に行ける雰囲気ではない。そこを打破するべく、SNSに絡め、人気のアイドルにおいでいただきPRしたのだろう。
いいじゃないか。若くて綺麗なお嬢さんがアートの前でニッコリ写っている写真。私はアイドルに興味はないが、もしその写真が彼女込みでも素敵に写っていたのならばそのアートを見に出かけたいと思う。
それに「映え」をおすのはアートに目を向けさせる一つの技法であって、知識や理解は、美術館・作品に興味をもったら自然と自分で調べるし、現地へ出向いて学ぶ。というか美術館や博物館というものは学ぶために行くところだと認識していたので、行く前に無知でも行ってから知識の一つでも身につくならそれでいいのじゃないだろうか。
先にも書いたが日本、特に若者は美術館やアートへの馴染みが少ない。海外では美術館やアートが生活の一部に溶け込んでいて、学校の授業の一環としても訪れるし、定期的に無料で見られる日があったり、写真だって撮影することができるところもある。なんなら本物を横目に模写する事だってできる。日本の美術館もそういう風になって欲しいと思って発案された企画じゃないのだろうか。
そもそも「山ガール」はよくて「美術館女子」はなんでダメなんだろう?「美術館女子」が無知を晒しているっていうなら「歴女」は?「歴史好き女子」だからいいのか?だったら「美術館好き女子」なら批判は出なかったのだろうか?
「山ガール」「歴女」だって「ガール」を強調しているわけで、そうなったらガールじゃない女性や登山が好きな男性は軽視されている?歴史好きな男性は?
昔女子の私にはこのニュースがなぜ女性軽視や性差別なんてところに繋がるのかさっぱり分からない。そもそも女子でもガールでも男性でもボーイでも好きな人が好きな時に美術館でも山でも行って自分の好きな事を楽しめばいいだけだ。
美術館に行く事自体が「特別」になっている日本だからこそ起こるこんな論争に、日本はまだまだ平和だと思う反面、とってもくだらないニュースを朝から見せられて、脱力した朝だった。