【専門家が解説】確認すべき不動産の売買契約の改正ポイント
【2020年民法改正で何が変わったのか?】について解説しています。
本記事では、改正民法(2020年4月1日施行)による売買契約に関する主な改正点について、特に需要が高まっている不動産の売買契約において関連する改正ポイントをまとめて解説しています。
1.不動産の売買契約
売買契約は、民法で下記のように定義されています。
第555条 売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
したがって、不動産の売買契約は
売主が不動産(建物や土地など)の所有権を買主に移転することを約し、買主が、これに対して代金を支払うことを約することで成立する契約
となります。
2.民法改正の主なポイント
今回の民法改正で不動産の売買契約に関連する改正ポイントを確認していきます。
主な改正ポイントは次の3つです。
✅売主が負う担保責任が変更された
✅不動産の危険負担に関して変更された
✅契約解除の要件が変更された
✅売主が負う担保責任が変更された
[改正前]
瑕疵担保責任
👇
[改正後]
契約不適合責任
「瑕疵担保責任」が廃止され、「契約不適合責任」へ変更されました。
また、この売主が負う「契約不適合責任」に基づき、買主側からは、
①履行の追完
②代金の減額
③損害の賠償
④契約の解除
このような請求ができる権利が認められます。
詳しくはこの記事も参照ください。
✅不動産の危険負担に関して変更された
危険負担とは、
不動産の売買契約において、売主に責任なく不動産を引渡しできなくなった場合(たとえば天災地変などで物件が滅失・毀損した場合)に、どちらが負担するのか?
といった事項についての規定をいいます。
危険負担に関するポイントは、
▶債権者主義を廃止し、原則、債務者主義に統一されたことです。
詳しくはこの記事も参照ください。
✅契約解除の要件が変更された
不動産の売買契約に限りませんが、今回の民法改正における契約解除に関する重要なポイントは、
▶解除の要件から「債務者の帰責性」が削除されたこと
です。
詳しくはこの記事も参照ください。
3.契約書をレビューする際のポイント
買主側、売主側でレビューすべきポイントが異なりますが、それぞれの立場から、今回の改正点をふまえて、不動産の売買契約書をレビューする必要があります。
特に、今回の改正で「瑕疵担保責任」→「契約不適合責任」と変更されたことで、目的物である不動産について当初の契約内容(重要事項説明書などで事前に案内された物件情報)と適合しているか(相違ないか)が重要となること、
また、改正民法で買主に認められている追完請求権や代金減額請求権などの権利行使に関する規定に関しては、改正民法の原則と比較して自身にとって有利になっているか、不利になっていないかなどをしっかり確認しながらレビューをすすめる必要があるといえます。
当事務所は、法務担当のアウトソーシング先として契約書のリーガルチェックや契約書の作成を多く取り扱っています。お気軽にご相談ください。
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