協会を設立する4つのメリット
1.協会とは
皆さんも、「○○協会」という名前はよく目にすると思います。
事業を行おうとするとき、株式会社でなく、「協会」とする目的は一体何でしょうか ?
協会で事業を行うメリットと、その立ち上げ方法はどのようなものがあるのか解説いたします。
2.「協会」の4つのメリット
まずは、「協会」というかたちで事業を行う場合によく言われる4つのメリットを紹介します。
(1)ブランディング
昨今、世の中は情報が過多となっており、どの分野でも高度な専門性、本質重視がキーワードになっています。
その業界において「一番」「特化している」として周知せしめることは、マーケティング上、非常に有利にはたらきます。
また、一事業主の肩書きで活動するのとはうってかわって、「◯◯協会の代表理事」という協会の代表者である肩書きを使うことにより、大きなブランディングになります。
一事業主の名刺で自己紹介しても反応がイマイチだったのに、「◯◯協会の代表理事」という名刺で自己紹介したところ相手の反応が一変した、なんてことはよくあることです。
更に、「協会をもっている」ということで、その道の専門家として扱われます。 また、その分野の人たち(会員)を多く抱えてるのだろうと周囲からは思われます。 その分野の人々をターゲットとした商材を取り扱っている企業からすると、「繋がりたくて仕方ない人」との印象を持つことになります。
このことを活かすと、上記のような企業を協賛企業(スポンサー)、賛助会員として抱えていくことで協会の発展に繋げていくことが可能になります。
(2)収益モデル
賛同してくれる会員を多く抱え込むことによって、長期で安定的な収益を得ることが可能となります。
もちろん、そこには戦略的な集客だけでなく、これら会員が「有益な協会」として賛同し続けたいと思えるような協会にすることが大変重要です。
また、会員が好き勝手やらないように、会員同士・協会と会員がうまく付き合っていけるような規約などの法整備は必須となります。
(3)理念(想い)
代表理事となる方が、これまでに培ってきた技術やノウハウ、有益な情報を世の中に周知せしめることができます。
協会という箱を使って、代表理事の理念(想い)を形にし、賛同する会員らとともに普及させることができます。
ここでも、法整備やシステムの構築をしっかりしていないと、自身の理念とはかけ離れた協会が一人歩きしてしまうことになってしまうので注意が必要です。
(4)コミュニティ
理念(想い)を共有できる仲間が集うコミュニティを主宰できるということは、大変意義深く、自身の人生においても心が満たされた状態になります。
協会員も仲間も自分の理念(想い)に賛同する自分に似たような方が集まりますので、利益のみを追求して私利私欲に走ってしまうと、そのような方々が集まり、運営もうまくいきません。
協会は、理念追求型の事業と言われます。 会社と同様、いえ、会社以上に掲げる理念を大事にし、「この崇高な理念に賛同する人々を集めて世の中に普及させたい」という想いが強ければ強いほど、協会運営もうまくいくと言えます。
3.協会を設立する2つの方法
協会を立ち上げるには、どういう方法があるのでしょうか ?
大きく分けると2つの方法があります。
(1)任意団体で協会を立ち上げる場合
(2)法人で協会を立ち上げる場合
(1)任意団体で協会を立ち上げる場合
任意団体は、その名前のとおり、法人格を持たない任意の団体です。
「○○協会」「○○研究会」と名乗れば、その日から「任意団体」となります。
ただ、同じように法人格を持たない任意団体であっても、営利、非営利を問わず、ある一定の条件のもと法的に団体性を認められ、社会の構成単位として活動できる団体があります。
「要件を満たす規約、規則があること」
「規約、規則にのっとって、実際に運営されていること」
上の2点が満たされており、団体として組織を備えているなどの要件を満たしている団体は、法的には「権利能力なき社団」といい、ただの「集団」(任意団体)とは区別されています。
任意団体であれば、規約や会則を作成することも、規定すべき内容も文字通り任意ですが、一定のルールに従い、規約や会則を作成し、ルールに基づいた運営をすることで、団体の構成員や外部の関係者(団体、企業)との信頼関係を高めることができます。
つまり、協会が会員(個人や企業)を募り、その運営を継続して安定させたいと考える場合は、必ずその協会特有の規約、規則が整備されてなくてはいけません。
協会運営で必要な規約や規則の例
会員規約:入会前に同意してもらう会員の規約
受講規約: 講座などの受講前に同意してもらう規約
認定講師規約: 協会の認定講師が活動するにあたって守るべき規約
個人情報保護指針:協会が取得する個人情報のプライバシーポリシー
(2)法人で協会を立ち上げる場合
任意団体とは異なり、法人格を持つ団体が協会運営の母体となります。
協会の運営の母体は、一般社団法人でも、NPO法人でも、株式会社でも問題ありません。
ただ、「公益性」のイメージを持たせることができる一般社団法人やNPO法人が人気であり、その他にもいくつか一般社団法人を設立するメリットがあるので、一般社団法人で協会を設立される方が多いという現状があります。
(1)任意団体では、規約や規則が必要でしたが、(2)法人で協会を立ち上げる場合は、規約や規則の整備に加えて、法人格を取得する手続きが必要になります。
一般社団法人、株式会社であれば、20~30万円程度の費用、期間は1週間程度必要になります。NPO法人であれば、半年かかりますので、余裕をもって計画を立てていくようにしましょう。
まずは、任意団体で協会を設立し、会員が集まり軌道にのってきたら法人格を取得するという協会も多くあります。
4.まとめ
協会の活動内容や収益の見込みはそれぞれの協会によって異なります。法人格を取得するタイミングや任意団体で立ち上げるべきかなど、その見極めは協会運営にとって非常に重要なポイントです。
協会を(1)任意団体で立ち上げるにしても、(2)法人で立ち上げるにしても、必要になってくるのは、しっかりした協会の規約です。
これらは組織や運営についての根本的な決まりごとを書面化したもので、“団体の憲法”ということができます。 協会の活動はHPやパンフレットなどで断片的に見ることはあっても、その活動目的や運営の実態は外部からなかなか見えにくいものです。
多くの会員の共感を集め、活動に参加してもらうには協会の目的や理念はもちろんですが、運営の実態についても情報を公開し信用を得ることが大事です。
また、「規約」には、団体に参加する人が共に協力しやすくするためのルールとして、事前に定めておくことによってトラブルを未然に防ぐという役割もあります。
規律や規則、基準がしっかりと整備されていないまま協会運営をスタートしてしまうと、必ずと言っていいほど、運営が滞ってしまいます。また、そういった組織には誰も参加してくれず、人が集まりませんのでいつまで経っても一人で運営していかなければなりません。
法人格をもたない協会であっても、「協会規約」「会員規約」「約款」「〇〇講座受講規約」などの規約や規程がしっかりしたものであればあるほど、協会自体もしっかりした印象を受け、協会の価値が上がります。
逆に、これらが整備されておらず、あったとしても使い方を誤っていたり誤字が多い規約や規程だったとしたら、「この団体は大丈夫かな ? 」と第三者から見ても心配になります。
このことから、法人格をもつ、もたないの別はあっても、協会を設立する際は必ずしっかりとした規約や規程の整備が必要であり、協会がどのような組織であるかを社会に対して示すことが重要となります。
協会の立ち上げを検討する際には、ビジネスモデルや収益の仕組みを考えることも重要ですが、これらのことを考慮して協会設立の計画をたてましょう。
弊所はお客様の運営されたい任意団体、協会について、しっかりヒヤリングさせていただき、その上でお客様の協会に必要な書類や規約のご提案を丁寧にさせていただきます。お気軽にご相談ください。
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