今の民法がどうなっているか?を知っていると、良いこと(フリーランス・法人両方にとって)
民法の大改正
フリーランスの方も、もちろん法人も、ビジネスをされている皆さんは、
昨年の4月、民法が改正された
ということは、一度は耳にされているかと思います。
今回の民法改正は、実に120年ぶりの大改正となりました。
昨年の4月といえば、新型コロナウイルス感染症拡大の騒ぎの真っ只中でしたが、そんなときに施行された今回の改正民法について、
▶以前と何が変わったのか?
▶変わったことによって、日ごろの取引に関する契約書の文言のどこを変更する必要があるのか?
▶契約締結の際に、どういったことに気をつけなければならないのか?どのように相手方と交渉したらよいのか?
と、不安に感じておられる方は結構多いと思います。
そこで、契約書の専門家が、しっかり体系化して、これらの皆さんのモヤモヤを解消すべく、わかりやすく解説をしてまいります。
次回から、その一つ一つを解説していくとして、今回は先ず、その第1回目として、どうして(フリーランス・法人両方にとって)今の民法を知っておく必要があるのか?について解説します。
今の民法がどうなっているか?を知らないと…
日ごろ、契約書のリーガルチェックを行っていますと、未だに旧民法の規定のままの契約書をお使いの企業やフリーランスの方々が結構いらっしゃいます。
たとえば、新規取引の際に、相手方から、
「こちらが当社の雛形です」
と提示された契約書の内容が、今の民法にそぐわない内容であったとき、どのように感じられるでしょうか。
“結構ずさんな法務体制をされている企業なんだな”
などという印象をもたれ、すんなり契約→取引開始とすすめるつもりだったにもかかわらず、
“少ししっかりめに内容チェックしておいた方が良さそうだな”
といった見方になってしまうことは避けられません。
余計な時間と労力、そして「厳しいチェック」が入ってしまうことになりかねません。
今の民法がどうなっているか?を知っていると、良いこと
逆に、今の民法がどうなっているか?を知っていると、
先ほどのような場合に、旧民法の規定が盛り込まれている契約書について先方へ指摘することができる
というのはもちろんですが、
今の民法にそぐわない、先方に有利な規定があった場合に、
「現行民法の規定通りとしていただけますでしょうか」
と、「民法」というしっかりした根拠を示して、相手方に修正提案ができます。
そして、相手方としても、「民法」上の原則を覆すような、合理的な根拠がない限りは、これに対して反論しようとしても、なかなかできません。
①フリーランスの立場からすると
フリーランスの方々が企業からお仕事をいただく際の契約書は、多くが企業側から提示される契約書です。
「これが当社の雛形です。問題なければサインしてお戻しください」
と、提示された契約書をざっと確認してみると、
なんだか、少し先方が優位すぎる内容のような気がする。。
だけど、お仕事もらう立場だし、こちらとしても気分害されても困るし、大手企業だし、間違いも無いだろうから、とりあえずサインしとくか。。
このようなことは誰しも一度はあるかと思います。
こんなとき、
前述のように、民法を理解していれば、
「現行民法の規定通りとしていただけますでしょうか」
と、毅然とした態度で修正のご提案ができます。
以前の記事でもお伝えした通り、
そもそも、業務委託契約とは、クライアント企業とフリーランスとが対等な立場で締結する契約です。
あとから、「あのとき、しっかりお伝えしておけばよかった。。」とならないよう、たいして確認もしないで、すぐにサインしてしまうことはあってはいけません。
②企業の立場からすると
以前の記事でもお伝えしたとおり、外注する際の契約については下請法について注意しなければいけません。
そして、最近のフリーランスの方々もインターネットなどの知識をもとに様々な提案をしてこられます。
たとえば、
・損害賠償責任をなるべく負わないで済むような規定
・納入物の知的財産権について発注者側に移転しないような規定
・契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)を負う期間が短い規定
など、現行の民法などの法律にそぐわない規定を提示された際に、
「現行民法の規定通りとしていただけますでしょうか」
と、根拠を示して拒絶することができます。
今回のまとめ
120年前に作成された法律では、実状に合わない部分がいくつも出てきたため、そんな実状に合わない部分を、
現代に適応する内容に修正しよう。
120年前に存在しなかったルールも、しっかり明文化するようにしよう。
そういった目的もあり、今回の大改正がなされました。
したがって、決してフリーランスの方々や企業をきつく規制するための改正でなく、むしろ逆で、
皆さんが、この現代社会においてビジネス取引を円滑に、かつトラブルなく、すすめていけるようにするための法律ですので、
これを正しく理解し、自らのビジネスに活かしていきましょう。
弊所の記事が、その一助になれば幸いです。
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