お使いの“利用規約”“受講規約”を確認しましょう【専門家がわかりやすく解説】
昨年4月1日、120年ぶりに民法の改正がありました。
今まで大きな改正がなかった民法が大幅に改正されたことで注目されましたが、
皆さんがサービスや講座を提供される前にお客様に同意してもらう「利用規約」「受講規約」についても大きな改正がなされることになりました。
大きな改正のポイント
「利用規約」「受講規約」にかかわるところで、1つ大きな改正のポイントがあります。
わかりやすく言うと、
「利用者の利益を一方的に害すると認められる条項があった場合、たとえ利用者が“✅同意する”としたとしても、合意しなかったものとみなされる」
合意しなかったことになる?
サービスを提供する側からすると、おそろしい話です。
利益を一方的に害するものとは?
では、
「利益を一方的に害すると認められる条項」
とは、どういうもので、どういうときに、無効となってしまうのでしょうか。
BtoCの契約は、いわば消費者と事業者の間の約束ごとであるため、いったん結んだ内容はおろそかにできませんが、上記のとおり、消費者の利益を不当に害する内容については、効力を持ちません。
例えば、以下のような条項は無効になる可能性があります。
(1)「キャンセルや返品・交換など一切できません」など
消費者の解除権の一切を放棄させる条項です。
例)「商品・サービスについては、いかなる理由があっても、ご契約後のキャンセル・返品、返金、交換は一切できません」とする条項
(2)「事業者側は損害賠償責任を一切負わない」など
損害賠償責任の全部を免除する条項や、事業者の故意または重過失による損害発生の場合であっても損害賠償責任を免除する条項です。
例)「当社は、利用者の本サービス利用に際し生じた人的・物的その他いかなる事故やトラブル、損害についても一切責任を負いません」とする条項
(3)「違約金〇百万円」など
不合理に消費者に高額な違約金あるいはキャンセル料を支払わせる条項です。
例)「契約後にキャンセルする場合には、以下の金額を解約料として申し受けます。解約料:金〇百万円也」とする条項
(4)全く関係ない商品のセット販売が不意打ちで規定されているなど
信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項です。
例)目的のコンテンツを利用するには別途オプションサービスを購入しないとそもそも利用開始できないということを、わかりにくい文言で規定されていたなど
消費者は弱者
消費者は、弱者であり、守られるべき立場であるとして、消費者契約法などの法律でしっかり守られています。
逆に、サービスを提供する事業者は、消費者にわかりやすいよう配慮する努力義務を負うなど、弱者である消費者が泣きをみることがないよう様々な義務を負います。
これは、ビジネスの対象を消費者としているためであり、致し方ないことです。
そして法律で決まっているということは、守らなければ法令違反になりますので、これはもう、対応するほかありません。
まとめ
コロナ渦で、最近はオンラインサービスの需要がたいへん増えています。
オンラインでサービスを提供しようとする場合は、オンラインサービス特有の利用規約が必ず必要になります。
ただ、民法改正前に作られたであろう利用規約を改定もせず、そのままお使いになられている事業者があまりに多く、サービス提供事業者は、自社のリスク回避のためにも、今使用している利用規約を見直すことが重要といえます。
せっかく整備した利用規約が無効とならないよう、現行の民法に適用しているか、はたして自社のリスク回避となる内容になっているのか、などをしっかり確認しオンラインサービスの拡大につなげていきましょう。
当事務所は、セミナーや講座の受講規約、オンラインスクール、教室、オンラインサービス、オンラインサロンなどの事業に欠かせない規約について、多く取り扱っています。お気軽にご相談ください。
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