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もう一度書きます。「登録契約書」は皆さんを売り込む際に必要です。なぜか?

さて、以前もこういう記事を書きましたが…]

■海外案件、ハリウッド案件に応募する場合ー日本の「事務所制」は世界的にみてガラパゴスなことをご存じでしょうか?
https://note.com/kyojiohno/n/n6280b50d8bf8

アップルテレビの某案件(完全なハリウッド案件です)のキャスト募集の時にもひと騒ぎがおきたのですが、その後も引き続き日本国内の外国系エージェント会社の募集案件を投稿するときに「登録契約」という項目があるのですが先日の騒ぎがあったにも関わらず、まだそれに躊躇する、もしくは拒否反応を示す方がグループ内にもまだ少なからずいたのでもう一度なぜ「登録契約書」なるものが必要かについてここで述べます。

まあ特に日本人は「なれていないこと」もしくは社会の変化というものに対して抵抗を示す傾向が強いのですが、実はこの「登録契約書になれていない」日本の状況こそ問題なのです。なぜなのかご説明しましょう。

そもそも大多数の日本人が世界の映画や音楽を始めとするコンテンツの環境が劇的に変化したことを理解していない人が多いようです。特にここ10年の間に肖像権、著作権、版権といった「知財」の扱いに関する姿勢が世界で劇的に変化しました。そこにはある大きな一大原則が世界的にみて定着しました。
それは

本人の肖像権、著作権等の知財は契約書を結ばない限り本人以外の人間が勝手に利用してはならない。

という大原則です。よく考えれば当たり前のことですね。

著作権ならば出版社、音楽ならば音楽出版社が作家と契約を結んで著作権を管理するシステムが既に存在します。著作権は「信託」と「委託」の2種類があり、著作権のあらゆる部分の管理を委託するのを「信託」一部の限定した分野のみに限定するのを「委託」という表現を使います。前者は日本ではJASRAC が担当し後者はNext-tone が担当しますが、最近特に音楽著作権に関する「演奏権」をめぐってJASRACが事実上の独占を行っているため、多くの問題が発生しているのはご承知の通りです。(私見では独占禁止法に抵触すると考えます)

一方肖像権はこれまで著作権のような保護するシステムが存在しないため全世界的にこれに関する対策が議論され、最近はテレビでも映画でも俳優が出演する場合の肖像権の管理は全世界的に厳格に管理されるようになりました。具体的には役者さんが映画やテレビに出演しているときに役者さんの顔や姿が撮影されているときにその「肖像権」をシーンごとに登録する「チェーンオブタイトル」という契約が存在します。それによってオンエアやストリーミング、パッケージの際に役者さんに肖像権のロイヤルテイが支払われるシステムになっています。今海外では撮影の際に「チェーンオブタイトル」を記録されないと劇場公開もストリーミングもできないことになっています。しかし日本ではこの「チェーンオブタイトル」が定着しているとは残念ながらいえません。

そのため役者さん、モデルさんの写真には厳密な「肖像権」が存在します、という本来当たり前のことが広まっていません。そこでまず自分の「肖像権」に関する意識を持ってください。

その「肖像権」がたとえ仕事を取るためとはいえあなたの承諾なしにあなたの写真やプロフィールを勝手に使われたらどう感じますか?
想像力を働かせて見てください

何度も書いてますが「登録契約書」はそういう事態を防ぐためのものです。この契約書で皆さんに金額が発生したり、皆さんの活動に制限が加わるものではありません。この辺りを説明してもどうしても納得していただけない方が多いので困ってますが..(笑)
おそらく理由として演奏家派遣とか俳優事務所で「登録料」と称して金額を要求される日本では本当に多いですが、こういうやりかたは邪道で本来あってはならないやりかたです。どうもそのイメージが日本の業界内で根強いために「契約書」ときいて拒絶反応する人が少なくないのかな、と推察します。
まあヘッドショット等の撮影会とかを行う場合がありますが、それは確かに費用は発生しますが参加は任意です。これをやらないと登録をはずされる、なんてことはありません。

そのため弊社が提携しているBlue Ape EntertainmentJapan Talent はいずれも登録を要求されるのは、皆さんの写真(肖像権)等を仕事を取るために使いますよ、のための契約書です。たとえ仕事を取るためとはいえ、他人の肖像を勝手に使うとそれは知財を無断に使うことになってしまいますので、こういう登録する必要があるのです。その他ギャラが発生する場合はエージェントがその知財を護ってくれるために必要なのです。先日も書きましたがこれ日本以外では当たり前になっているやりかたなんですね。いかに日本が知財に対していい加減かということを示すことでもあります。

というわけで「登録契約書」について少しはご理解いただけましたでしょうか? 役者さんは自分の「肖像権」に関する意識を持ってほしいです。たとえ仕事をとるためでも役者さんの「肖像権」を勝手に使ってはいけないんですね。そういう事態を防止するための登録契約書です。

これでも理解されなかったらどうしようかな (笑) まあここまで説明してもどうしても心理的抵抗がある方は無理なさらず応募されない方がいいかもしれません。


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