「暮らしとしての生活」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』
「暮らしとしての生活」 【くらしとしてのせいかつ】
「人間的〈生〉」の実践を“生活”と呼ぶとき、衣食住の必要を実現するなど主として〈生存〉と結びつく側面を強調したもの。
西洋哲学の人間観においては、古くはアリストテレス、近代ではK・マルクスやH・アレントに至るまで、〈生存〉と結びついた「暮らしとしての生活」は軽視され、とりわけそこから解放されたところにある「精神としての生活」(例えば、観照活動や言論活動や自己実現(自己表現)など)にこそあると考えられる傾向があった。
しかし本書の認識では、「〈生〉の三契機」において、〈現実存在〉の実現も、〈継承〉の実現も、その意味の文脈は歴然として〈生存〉の実現という契機に行きつくように、「精神としての生活」といえども、その根源的な意味の源泉は「暮らしとしての生活」にこそあると考えられている。
このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。
(現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。