「〈ユーザー〉としての生」とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』
「〈ユーザー〉としての生」 【ゆーざーとしてのせい】
「〈生〉の三契機」の実現を「市場経済」、「官僚機構」、「情報世界」を核とした〈社会的装置〉に委託することによって成立する〈生〉の形式で、「〈生活者〉としての生」に対置される概念。
「〈ユーザー〉としての生」が成立すると、自発性や自己決定の機会と幅が拡大し、近代的価値(〈ユーザー〉としての「自由」と「平等」)が実現していくように見える。他方で、〈生〉を成立させている物事つながりや意味の文脈が不可視化され(「〈生〉の不可視化」)、それが個々の人々には、〈生〉を実現することに対するリアリティや、等身大の〈生活世界〉の喪失として感受される(「〈生活世界〉の空洞化」)側面がある。
また「〈ユーザー〉としての生」を拡大させるためには、〈生の自己完結化〉と〈生の脱身体化〉が条件となり、多くの矛盾を孕むことになる。
このページでは、筆者が2021年に刊行した『〈自己完結社会〉の成立――環境哲学と現代人間学のための思想的試み(上巻/下巻)』(農林統計出版)に登場する用語(キーワード)についての概略、および他の用語との関係について説明したウェブ版の用語集のnote版です。
(現在リンク先は、すべてウェブ版を借用していますが、徐々にnote版に切り替えていく予定です。