見出し画像

「知らない」が子どもを傷つけているかも!?起立性調節障害を広めよう!

共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨

教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌

どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。

共育LIBRARYりょーやん、元教師です。


今や30万人に増えている不登校。

学校に来ることができない、
来ない選択をする大きな要因は、
いくつかに分類されます。

・学習についていけない
・いじめ、人間関係のトラブル
・そもそもエネルギー量が少ない
・学校の刺激が過敏すぎる
・LGBTQなど学校の社会システムへの不適合
・家族が精神疾患を抱えている
・ネグレクトの家庭

そして、上記の理由に加え、
大きな要因の1つとしてあげられるのが、

起立性調節障害

です。

中学校の不登校児の内、
3~4割
の子どもが、
この起立性調節障害をもっているという調査もあります。

こわいのは、
大人がこのような症状を知らないが故に、
子どもを傷つけてしまう恐れがあること。

この記事では、
そんな起立性調節障害について、
記事にしていきます。

今回は、
共育LIBARRYメンバーシップの、
カオラさんと共育LIBRARYのコラボ記事です。

ぜひ、知見を広げる材料の、
1つにしてもらえると幸いです。



起立性調節障害の実態

起立性調節障害は、
思春期に発症しやすい、
自律神経機能不全によって、
「起立」したときに、
さまざまな不快な症状が現れやすくなる障害です。

その数は、
思春期全体の約1割

ざっと数えても、
100万人以上はいます。

小学校高学年から症状が出る子が多くなり、
中学校で一気に増えます。

女子の方が男子より発症しやすく、
中学生女子の25.6%に症状が見られ、
30年前に比べて10%以上増えています。

冒頭でも述べた通り、
中学の不登校児の3~4割に症状が見られ、

不登校児の約7割の子どもに、
軽重の差はあれ、
朝起き不良、頭痛、全身倦怠、立ち眩みといった、
症状が見られているのです。

現在の、
ひきこもりや、
ニートといった人たちも、
このような症状を、
同じように抱えていたのかもしれません。

それを「怠け」だと捉えられ、
決めつけられた価値観を押し付けた結果、
社会の闇を生んでしまったのかもしれない。

では、起立性調節障害が、
どのような症状なのかを、
具体的に見ていきます。


起立性調節障害の症状

起立性調節障害には、
次のような症状が見られます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・立ち眩み、めまいを起こしやすい
・立っていると気持ち悪くなる
・起立時に倒れるときがある
・入浴時に気持ちが悪くなる
・朝がなかなか起きられない
・倦怠感があり午前中に調子が悪い
・少し動くと動悸、息切れがする
・顔色が青白い
・食欲不振
・頭痛
・乗り物に酔いやすい
・疲れやすい
・おへその周りに差すような痛みを覚える

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

これらの症状に、
3つ以上当てはまれば要注意です。

そして、午前に調子が悪い代わりに、
午後、特に夜に活動的になり、
色々夜遅くまで起きざるを得ない場合が生じてくる。

そうなると、

「怠けている」
「規則正しい生活をしていないからだ」

といった、
一方的な言葉を大人から投げかけられ、
自己肯定感を低下させてしまう恐れがあるのです。

思い返してみれば、
卒業式の練習や、
全校朝会などで、
必ず立ったときに崩れてしまったり、
気持ち悪くなって、
練習から抜ける子どもがいました。

今となっては、
起立性調節障害だったのだろうと、
考えることができます。

また、天気の影響も受けます。

くもりや雨の日は、
低気圧になりやすいので、
空気中の酸素濃度の低下など、
副交感神経が優位になりやすいためです。

暑い日も。

発汗によって水分が減り、
血液量が減ることによって、
低血圧が起こります。

神経発達症の子たちも、
梅雨や暑い時期は、
不適応行動が増えますから、
自律神経という点について、
共通点があるのかなと思います。


起立性調節障害のメカニズム

起立性調節障害は、
自律神経の不全が関係していると述べました。

それによって、
脳に送られる血流の流れに、
調節不全
が起こることによって、
不快な気分になってしまうのです。

私たちが眠っているときは、
横になっています。

その時は、
心臓と脳の高さに、
高低差はほとんどありません。

よって、脳には十分な血流が流れます。

しかし、立ち上がると、
重力の影響で下半身に血液がたまりやすくなり、
血圧が低下します。

通常ならば、自律神経が、
この血液量のアンバランスさを、
素早く調整する。

しかし、
起立性調節障害の場合は、
自律神経の調節不全なので、
血液が下半身にたまったままになりがち
なのです。

脳に血液が送られないということは、
酸素量も少ないということ。

よって、
気分が悪くなるだけでなく、
集中力や思考力も低下しがちになってしまうのです。

朝に血液が巡ることができず、
覚醒しない状態でも、
午後からは活動モードになります。

眠くなるのは大体起床から16時間後なので、
午前4時頃まで眠れなくなる。

そして、
起立性調節障害の子どもは、
1日の体内時計が27~30時間だと言われています。

普通は25時間です。

つまり、毎日11時に寝ている人に、

「明日は8時に寝なさい」

と言っているようなものということ。

それは眠れなくて当然でしょう。

加えて、思春期の問題もある。

思春期である10代の子どもは、
睡眠を促すホルモンである、
メラトニンの分泌時間が違います。

大人の脳よりも2時間遅いと言われている。

また、
メラトニンは、
体内に長く残るので、
通常の中高校生でも、
朝なかなか起きれない。

それに、自律神経の問題が加わるので、
起立性調節障害の子どもが、
数倍の負荷を抱えていることになるのです。


起立性調節障害の対策/支援

起立性調節障害になる子どもは、
細かな気配りができて、
周囲の人たちにとても気を遣う傾向があります。

周囲から「よくできる子」と褒められ、
学校などの集団生活でも、
自分の感情を抑制し、
過剰適応をする場合も多いです。

だから、
その繊細な感性を大切に対策を練っていく。

病院を受診した子どもの20年後は、
男子で24%、女子で49%症状が残るという調査があります。

しかし、皆、治療は受けなくなる

つまり症状が緩和され、
日常生活を送れるようになるのです。

それは、思春期の脳の、
前頭葉の未完成さと、
ホルモンバランスの変動期が終わったことも、
関係しているでしょう。

ということは、
10代の内にどうサポートするかということ。

対策・支援の基本は、
理解と生活の工夫になります。

まずは家族間での理解。
そして学校。

学校と連携し、症状を説明し、
居場所の確保、学習面のフォロー、
夕方に少しだけ登校、
オンライン授業、
などの連携が必要になってきます。

ドクターに、
診療結果を記載してもらい、
学校に提出するとよいでしょう。

コンディショニングの反対に、
デコンディショニングという考えがあります。

これは、動かない生活をすると、
もっと動かなくなっていくというもの。

起立性調節障害の子は、
1日中動けないわけではありませんので、
過度に安静にさせるのは却って危険

筋力が低下していき、
さらに悪化をたどる悪循環に陥っていきます。

よって、
そのようなことを防ぐためにも、
生活リズムを整える工夫をしていく。

具体的には、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・学校の時間割に合わせず自分の時間割をつくる
・水を細かく摂取する
・筋力の保持を心がける
・家族で協力し約束した手順通りに起こす
・起立時の動きだしはうつむき加減で
・朝はだらだら、そろりの動作
・ある程度は放っておく

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

などです。

障害を抱えているとは言え、
思春期。

構いすぎることによるストレスも生じます。

また、
薬物療法や、
カウンセリングなどを活用し、
身体的にも、
精神的にも、
安心できる環境を整えることも大事です。

自律神経の乱れは、
精神の乱れによって起こりますから。


起立性調節障害×カオラさん

起立性調節障害をもつお子さんの子育て。

学校になかなか行くことができず、
自分の道をもがき、
苦しむお子さんと共に歩いてきている軌跡を、
勇気をもって発信してくれているのがカオラさん。

本当に詳しく、
一部始終を記事にまとめてくれています。

長男さんの異変に気付き始めた当初。

当然、夜になればなるほど元気にゲームをしている姿を見て、仕事から帰宅した彼の父は怒った。

「長時間ゲームしてるから、朝起きられないんだ!!」

・・・

私はこの時になってやっと、このままではいけないと思った。

もしかしたら「ゲーム」が悪なのではなく、何か別のことが長男の中で起きているんじゃないだろうか。

「・・・」は筆者が省略

まさか、起立性調節障害とは思わない、
当初の状況を正確に映し出しています。

やがて、
長男さんが学校になかなか行けなくなり、
そして、次男さんも同じ症状に。

2人ともなかなか行けない日々。

それでも、
学校に行ける日は車で送ったり、
迎えに行ったりする。

進路をどうするのかを、
常に不安に思う息子さんたちに寄りそう。

一方、仕事場でも、
チームリーダーを任され、
部下を育てていく日々。

カオラさん自身が、
子育てのことでも、仕事のことでも、
不安で、焦りで、いっぱいいっぱいだったはず。

でも気丈に振舞わなければならない

そんな状況だったら、
誰だって崩壊の時は来ます。

その頃、仕事でも気持ち的にかなりしんどいことが続いていた。仕事から帰宅後、夕飯を作りながら突然涙がボロボロ流れ出した。子供達がビックリして駆け寄ってきて、私をあやすように背中をさすったり、頭を撫でたりしてくれる。されればされるほどどんどん涙があふれ、まったくコントロールが効かなくなった。30分以上泣きじゃくっていたのじゃないだろうか。

それでも、それでも、
生きていく。

子どもたちを、育てていく。

寄り添い続け、
一緒に考え続け、
長男さんは少しずつ、少しずつ、
自信を取り戻していきます。

私の方をもう一度見て、
小さくぺこりと頭を下げました。

この瞬間にやっと、
涙がぶわーっと溢れてきました

中学の卒業式は、式場に入らず、
同級生の誰とも話さず、
別室で卒業証書を一人でもらった長男。
その長男が友達、同級生とともに
堂々と卒業式に参加。

涙なくしては、
この長男さんのストーリーは読み切れません。

まだまだ長男さんも、
次男さんも課題がある様子ですが、
きっと、大丈夫。

これまでたくさんの困難を、
乗り越えてきたのだから。


まとめ

筆者は、恥ずかしながら、
この記事を書くまでに、
起立性調節障害のことを、
そこまで詳しく知りませんでした。

今思えば、

「そういえばあの子の症状はもしかして・・・」

と思う事例も、
幾つかあります。

あの時に、
この記事に書いたようなことを知っていれば、
もっと親御さんによいアドバイスができたかもしれない。

そんな意味で、
反省と共に、
広げていく必要性
を感じた記事となりました。

今回は複雑になるため、
神経発達症(発達障害)のことはカットしていますが、
症状を併発しているパターンも多くあります。

その場合は、
より複合的な支援、サポートが、
必要になってくるでしょう。


この記事が、
良かった、楽しかった、
興味深かったと思われた方は、
カオラさんの記事に、
スキ、コメントをしたり、
してみてください!

不登校のお子さんに寄り添った子育て、
自身のメンタルとの向き合い方、
子育てと仕事のバランス、
きっと似た状況にいる、
様々な方の心を打つ記事が詰まっていると思います。

共育LIBRARY×メンバーシップの仲間のコラボ記事は、これからも発信していく予定ですので、楽しみにしてもらえるとうれしいです♪

いいなと思ったら応援しよう!