【日記】3月18日〜3月24日
3月18日
今週は水曜日が休みなのでひとまず最初の2日間。
風が強く吹き荒れる春らしい気候、さらに花粉が酷く舞っているのを鼻と目で感じる。出入口近くにある来客用のカウンターが瞬く間に黄色い粉で覆われていた。
昼は初めて行く味噌ラーメン専門店で食べる。札幌味噌のラーメンを頼んだら以前現地で食べた時の記憶が蘇るくらいの美味しさだった。ただ値段が高いのでたまに行く程度かな。
21日で退職する事務員さんに配送さん達と一緒にお別れの花束やお菓子をプレゼント。最終日は半日しかいないとのことで前倒しになった。しかし、あまり嬉しそうなリアクションではなかった。そういえば辞めるって話を事前に話していたのは不思議キャラの事務員さんと自分の2人だけだったっけ。
3月19日
祝日前の火曜日。どこかいつもより落ち着いた雰囲気が漂う。
前日ふるさと納税の返納品として貰えるウイスキーの話をしたウイスキー好きの営業さんに「ホワイト&マッカイ」を入れた小瓶をプレゼント。独特な甘味が特徴なのでジャパニーズウイスキーが好きな営業さんにはどう響くか。
慌ただしくもあるけれど、今日が終われば明日は休みだという感覚が続きながら夕方を迎える。自分の部署以外は定時、自分も30分ほどの残業で終わる。
帰りは乗り換え駅まで配送さんに送ってもらう。その車中で今はまだ内緒の悲しい話を聞く。今年も出会いと別れがいくつも待っている。
3月20日
祝日。暴風の1日。
朝から細野晴臣「モナドボックス」を聴く。
毎日ずっと喧騒とも言える場所に身を置いて、絶え間なく呼びかけられながら仕事をしているとふいに静寂の中に身を置きたくなる。その静寂のなかで自分に問いかけていたい。
1985年、細野さんははっぴいえんどの再結成やFOEといった賑やかで強靭なビートを纏った音楽活動の傍らで心の静寂に寄り添うような音楽も沢山作っていた。このボックスに収められた音楽に耳を傾けながらふと自分に語りかける。
絶え間ない広告の嵐にいよいよ嫌気がさしてしまったのでYouTubeプレミアムに加入したら快適過ぎて謎の敗北感。
角田光代「今日もごちそうさまでした」を読み始める。
3月21日
曜日の感覚が狂ったまま出社。今は何曜日?とか言い合いながら1日が始まる。程なくして恐怖の地震に遭遇。
先輩と昼ご飯を食べながら4月から別部署に移動することが決まったと知る。昇進のために必要な経験を積むための移動だそう。それに伴って人員のシャッフルが行われるとのこと。
「まだ内緒だからね」と先輩に言われつつ会社に戻ると新卒さんが休憩所に入ってくるなり自分の名前を絶叫したので何かを察する。どうやら事務所では早くも話が広まった模様。とは言っても今は内緒にしなくちゃいけないので周りの人にバレないように「まだバラしちゃダメだよ!」と釘をさす。が、休憩を終えて戻ると更なる詰問を受けてその話を聞いた同じ部署の派遣さんにも打ち明けることに。
仲の良かった事務員さんが退職。しかし事務所の反応は意外とドライ。そこに深い人間関係の闇を感じてしまった。
久しぶりに長時間の残業をしたあとに課長とこれからについての簡単な打ち合わせを済ませ、さてそろそろ帰るかと思っていたら新卒さんから「今日は私と一緒に帰りませんか?」と誘われたので2人で帰る。
帰り道は自分がいなくなったあとに起きるであろう混乱に対する不安や困惑についてひたすら聞きつつ、来週に迫った自分の誕生日に何が欲しいかを聞かれる。「今欲しいもの……コースターかなあ」と言うと「それってセンスがめっちゃ問われるやつじゃないですか。じゃあもしコースターになったら彼氏がいつも使ってるのと同じIKEAのコースターにしますね」と言われる。
Shi-Shonen「Singing Circuit」を何度も聴く。特に「L.S.I.C.」には今更ながらぶっ飛ばされる。こんなにも凄いトラックを今まで聴き逃していたとは。
3月22日
配送さんの一人が会社のすぐ近くで納品している間に車上荒らしに遭ってしまい財布や免許証の入ったバッグを丸ごと盗まれてしまう事件が発生。その影響で配送さん全員の予定を変更することになり事務所はバタバタしていた。
昼過ぎに自分を呼ぶ声が聞こえたので走り寄ってみると会社の前に巨大なトラックが止まる姿が目に入った。「入荷の日程について事前に知らせるように」と何回も伝えていたはずなのにまたしても予定外の大量入荷で課長はメーカーの営業にクレームの電話を入れる。ところがやっと荷受けが終わった直後に別のトラックがやって来て同じメーカーから更なる大量の商品が届く。ポンコツ営業にもいよいよ愛想が尽きて「もはや人間不信だ…」と課長は力無く呟いていた。
夕方から苛烈な忙しさ。この忙しさを来月からどう捌いていくのか。最初のうちは残業時間になったらヘルプで入らなくちゃいけないかも、と思う。1時間半の残業。
そういえば先日ホワイト&マッカイを渡した営業さんからお返しに、と「白州」が入った小瓶をいただいてしまった。わらしべ長者みたいな展開に思わずビビる。
3月23日
「ノンスタンダードの響き」4CDボックスに収められた150ページのブックレットを凝視する。
レーベルオーナーの細野晴臣、Shi-Shonen、アーバン・ダンス、越美晴、ミカド、ワールドスタンダード、ピチカート・ファイヴ。どれも唯一無二の良質で色褪せない音楽を奏でていてレーベルが短命に終わったのが残念。ノンスタンダードから巣立ったアーティスト達がその後の日本の音楽シーンを形作っていったという歴史的事実がまた素敵だ。
夜、今年度最後の鍋を作り食べる。ごま豆乳鍋。
ピチカート・ファイヴ「月面軟着陸」を聴く。
3月24日
谷崎潤一郎「陰翳礼讃」を読む。日本人が大切にしてきた明瞭でないことの美、見えないままでいることの美について。昔の女性が何故お歯黒をしていたのか漸く理解する。この本を蛍光灯の下で読むのは少し罪悪感にも似た気持ちになる。
リュウジさんのアヴォカドサラダを作って食べる。もうレシピを見なくても作れるようになった。
夜、放送されたばかりのちびまる子ちゃんスペシャルを見る。TARAKOさん最期の出演作。オープニングが「うれしい予感」でいきなり涙腺が緩む。そしてエンディングで泣いてしまった。
さくらももこさんも大滝詠一さんもTARAKOさんもいない世界で生きることに慣れるにはこれからどれくらいの時間が必要なのだろうか。
#日記 #エッセイ #生活 #花粉 #春 #嵐 #プレゼント #退職 #祝日 #静寂 #喧騒 #異動 #人間不信 #盗難 #ノンスタンダード #音楽 #読書 #わらしべ長者