KYOGOKUオリジナル菌糸瓶 今期初仕込み
新しいオリジナル菌糸瓶、仕込みました。
今回は、家の片付けをしていたら見つかったリカー仕込み用の5 liter瓶を使ってみました。これまで使用していた容器は、DAISOのPP製の食パン・ケース(4 liter)が最大だったのですが、あれは上部摺り切り満杯までは培地を投入できないので、事実上、容量は3.5 literくらいが上限だったのですが、このリカー瓶は最強ですね。どっさり5 liter入ります。オオクワガタの♂ x 1頭、余裕で羽化まで持っていけますね。というか、全部は食べないと思います。でも、これはあくまで種菌からの更に種菌用の拡大培養目的なんです。
で、入念にエタノール消毒した瓶に、液体滅菌加水処理を施したアスペン・チップを投入しつつ、ウスヒラタケの種菌を埋め、植菌。3月30日に仕込んで約一週間が経過の状態です。
アスペン材は元々木肌が白いので判り難いのですが、既に種菌は白く活性して、チップに侵入し始め、代謝水の発生も確認できていますので、これなら、一先ず成功です。植菌から約一週間経ってもこのような初期状態が確認できない場合は、失敗が疑われます。というか、ほぼ失敗だと思います。大体いつも、この種菌の初期活性具合でその後の勝負の行方が決する感じです。
ちなみに、種菌の植菌の仕方は様々な方法があり、わたしは気温などの環境や菌の種類やその活性状態、培地の種類や加水具合等々によって、その都度、最も確度が高いであろうと考えられる手法に臨機応変に変えて対応しています。このあたりは純粋に仕込み上のテクニックになり、無論、それで成否が分かれることになりますので、非常に大事な見極めになります。
今回も、アスペン・チップは粉砕せずに大きなチップ状のまま使用しました。原材料の物理的大きさによって菌の蔓延・分解時間も変化し、大きなチップは細目オガに比較して相対的に時間が掛かるのですが、一番最初の試験アスペン菌糸瓶では粉砕せずに結果が良かった(幼虫の食いも良かった)のと、粉砕作業の手間が省けるというか……、単純に手抜きなのですが、結果、Alrightなら無問題ということで。ここのところは経験的に、菌の活性状態、温度も含めた培養環境にもよって適応の振り幅が非常に大きいように感じます。なので、このあたりの繊細さがわたしの「菌の活性状態の先は読めない」というところなのです。
煮出し処理も無し。但し、或る天然由来の栄養剤の添加はしました。これは、人間に効くサプリの応用で、試用実験も水面下で重ねていました。その栄養剤の腐朽菌による分解吸収は、食用キノコの試験機関によるデータで子実体への濃縮まで確認されていたのを読んでの応用だったのですが、実は密かに自分の実験でも検証確認済みアイテムなのです。菌糸瓶製造業者も含めて、この栄養剤の他者によるクワガタへの転用の実例は無いと思います。専門店での取り扱いも見たことがありません。なので、今のところ秘密にしています。これに関しては、腐朽菌にもオオクワガタにも効く栄養素である筈との読みでの試用続行中で、少量づつの添加で様子を見ながらの効果確認の状況です。添加による腐朽菌への効果は高く、また、オオクワガタへの悪影響は出ておらず、目下、その添加の最低必要量を探っている最中ですが、ひょっとすると、そろそろ、どこかのタイミングで思い切ってドカ添加実験をしないといけないかも知れません。
あとは、いつもの、アスペン由来とわたしが見ている、見た目が青カビに似た謎菌の発生が今回もあるかどうかです。わたしとしては発生して欲しい思いというか、変な期待感を持っています。というのも、謎菌の正体は有益な酵母菌の一種ではないかとわたしは考えているからです。前回、昨年に仕込んだアスペン菌床は目下、絶賛熟成中で、そちらの謎菌発生ヴァージョンとの比較検証サンプルとして、まあ、発生の有る・無し培地の比較という意味では、今回は発生しなくてもよいのですが、要するに、あの謎菌のオオクワガタへの影響が有りや無しやの何れかを判断できるような結果が欲しいところです。
産卵材の仕込み
それともう一つ、というか二つ、これはうっかり仕込み忘れていたのですが、産卵材用の廃榾木にも植菌しておきました。
産卵材については、昨年は天然ヒラタケ腐朽材を使用して上手くいき、手法としては♀が産卵するのであれば材料は何を使っても良いのですが、シイタケ廃榾木を使用する場合、加水だけではどうしても青カビ(本物の方の)だらけになるのが嫌なので、一手間掛かりはしますが、ウスヒラタケを植菌しておきました。これなら、産卵は間違い無いですし、あの、始末の悪い青カビからも解放されますのでね。
こちらも種菌の活性を確認でき、一ヶ月もすれば良い塩梅に仕上がると思います。