協働で得られた新しい視点で製品価値を「再定義」。老舗製造業が挑む BtoC 新規事業。
みなさんこんにちは。「協働」を通じて、日本に熱を生み出したい!
㈱協働日本 広報担当の郡司です。
今回は、株式会社ソミック石川 代表取締役の斉藤 要氏にお話を伺うことができました!
大正5年に「石川鐵工場」として創業したソミック石川さん。現在は自動車部品の製造業として知られ大手自動車メーカーを主要取引先として、クルマの足回り部品「ボールジョイント」では国内シェアの50%を超えています。
そんなソミック石川さんのBtoC領域における新規事業創出に、協働日本が伴走させていただきました。
新規事業の立ち上げの中で価格設定について議論をした際に、社員の考えがBtoBの自動車部品販売の考え方に凝り固まっていることに気付かされたそうです。
この度の協働取り組みを通じて、「お客様が何に価値を見出していて、そこにどう値段をつけていくか」を考えるという、価格設定について新しい視点を獲得できたと語る斉藤氏。
この度の新規事業では売り先をこれまでのBtoB(自動車メーカー)から、エンドユーザーに変えたことで、全く同じ部品であっても、お客様の見出した価値に沿った新たな価格設定を行うことができたそうです。
インタビューで語られているいくつもの気づきは、日本において高い技術力がありながら、適性な価格で販売することの難しさや、利益の確保に苦しんでいる地域の製造業の方々にとって、とても参考になる視点だと思います。
このnoteでは、インタビューの一部をご紹介します。フルバージョンはぜひ協働日本のHPにてご覧ください!
はじめてのBtoC事業に向けて、協働を通じてノウハウを学んでいった
協働日本との出会いは協働取り組みスタートの1年前。斉藤氏は当初から「協働」という取り組みに、関心は持っていたもののすぐには取り組みはスタートしなかったそうです。
しかしその一年後、今生産している製品を自動車メーカーだけではなく、補修部品として直接ユーザーに売る仕組みを作り、BtoC向けの新規事業を立ち上げ、事業領域をさらに拡大させていきたいという方針が固まり、そのタイミングで協働日本にお声がけをいただきました。
それまでは、決まった大手のメーカーが主な取引先ということもあって顧客対応も画一的なもので問題なかったこともあり、BtoC事業に求められる柔軟さが不足していたそうです。
検討中のBtoC向けの新規事業においては、これまでにない柔軟さ、計画的でないニーズにも対応できる自由度も、社内で絶対必要になるはずだと考えた斉藤氏。
そこで、協働日本に依頼し、経験豊富な協働プロの参画で、経験不足を補い、ノウハウを短期間で吸収したいと考えたとのこと。
新規事業推進のためとはいえ、同等のプロフェッショナル人材を自社で採用し、育成したり直接雇用したりするとなれば、費用の負担も大きい。
そんな中で協働を通じて組織のトップがノウハウを手に入れられるならば、結果的にとても効果的で価値ある投資になると確信したことも、経営者視点から見て大きな決め手だったそうです。
お客様が何に価値を見出しているのか。そして、そこにどう値段をつけていくのか。
新規事業の立ち上げに向けて、チームでディスカッションを進めていく中で、価格設定についての話になったときのこと。
どうしても社員の考えが「自動車部品」をベースとして凝り固まっていることに改めて気付かされたそうです。
自動車部品という業界においては、良い製品を作って、そこからどうやって原価を下げるかが重要視され、例えば利益率もはじめから、製品価格の5%と一律に設定されているなど、他業種に比べて価格設定の考え方に特殊な構図があるのだと言います。
そんな中でチームの協働プロから言われた「もっと高く売ってもいいんじゃないか?」という何気ない一言が、どうしても売価設定をリーズナブルに設定しようとしてしまう発想に凝り固まっていた自分たち自身を、見つめ直すきっかけになったそうです。
さらに、自動車メーカーからエンドユーザーに売り先が変わったことで、「お客様が部品に見出す価値」も変わってくることから、全く同じ部品であっても、提案に工夫をし、お客様が感じた価値の分だけ正当に利益を載せることが出来るという考え方に至り、新規事業の中身がよりブラッシュアップされていったそうです。
社員に生まれたうれしい変化
協働がスタートして多くの変化が生まれたと語る斎藤氏。
社員が活き活きとチームでのディスカッションに参加してくれているだけでなく、時間があればフットワーク軽く、市場調査をしにいくほどとのことです。
プロジェクトに参加する社員の、そういった高いモチベーションの背景には、自分のやったことに対して、週次のミーティングの中で、きちんとアドバイスやフィードバックがもらえることが大きいのではないかとのこと。
こういった社員の変化を間近に感じ、取り組みを始めて本当によかったと感じているそうです。
そして、ソミック石川と同じように、1つの分野に特化して専門化しているような企業こそ、こういった外部の人材を取り込んだチームでの協働取り組みを通じて、熱意のある適切な複業人材などをアサインしてもらい、一度視野を広げてみることが大切だと語る斎藤氏。
さらに、新しいことを始めたいけどノウハウが足りないなど、困っているのなら、人を雇うのと違い、まずは試してみるということができるのも複業人材との取り組みメリットだと語っています。
おわりに:斎藤氏から協働日本へエールも込めたメッセージをいただきました
斉藤氏:協働日本は、ある意味で大きなコミュニティとも言えますよね。こういったコミュニティが広がっていくっていうのはとても大事だなと思います。
というのも、製造業は特にこれまで、内製技術で川上から川下まで全部自前でやりますという、考え方が多かったですが、最近は強いところだけやります、という構造に変わってきています。
例えば、インテルも中身だけに特化して、パソコンの外側を作らなくなっていますよね。そのように、個々の技術をネットワークで繋げて、最終的には大きな成果を作り上げるという時代になっていくと僕は考えているんです。
協働日本のようなコミュニティがそれぞれの強みを持った人材や会社をつなぐネットワークになれば、よりスピーディに成果を産み出すことができ、発展していくのではないでしょうか。
思い返せば私自身も会社から、色々な変化の機会をもらっていたんですね。異動や昇進昇格…いろんな経験ができたからこそ変化も成長もしてこられました。でも、そういった様々な変化や経験を全員が等しく受けられるとも限りませんし、これからは自らがそういった変化のある場に飛び込んでいく必要がある時代です。
協働日本を通じて、自らも協働プロとして働く機会を作ることができれば、会社を飛び出してもっと社会のために能力を発揮できるという方も、きっと多くいるのではないでしょうか。
日本の強みは、資源ではなく人的資源です。最後は人ですから、協働日本のコミュニティが、日本を更に強くしていってくれることを期待しています。
▼地域の製造業の方々にとって、参考になるヒントが盛りだくさんのインタビュー全文はこちらから
STORY:株式会社ソミック石川 斉藤 要氏 -協働が変化の起爆剤に。市場の変化をとらえた販路開拓へ-
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