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「縦の糸はあなた、横の糸は…」~フィリピンパビリオン~

今回紹介するのは東南アジアに位置し、7600を超える島々からなるフィリピンパビリオンです。(冒頭画像はⓒPhilippine Pavilion / Carlo Calma Consultancy)

テーマは「WOVEN~自然、文化、共同体:よりよい未来をともに織りなす~」。「Woven(=織られた、織物)」はフィリピンの伝統工芸、クラフトマンシップの精神を体現する言葉だそうです。

パビリオンの外観イメージ(©Philippine Pavilion / Carlo Calma Consultancy)

縦、横、縦、横…。
外観はまさに、テーマがそのまま表現されたデザインになっています。1本の糸1本が丁寧に織られているように見えるファサードは、籐細工をイメージしており、躍動感あるデザインが目を引きます

側面は、212の織物からなる色鮮やかなタペストリーで飾られています。このタペストリーはフィリピン国内の島で活動する織物職人が手作りしたもので「先住民をエンパワーメントしたい」という狙いがあり、地域コミュニティが主体となる「コミュニティー・ツーリズム」の考えにつながっています。

色鮮やかなタペストリーの装飾(©Philippine Pavilion / Carlo Calma Consultancy)

館内では18の地域を象徴する手織りのアート作品がずらりと並び、最後にはAI技術を駆使した体験スペースでフィリピンのフィエスタ(祭り)を楽しめます。

パビリオン建築に使われる資材は閉幕後、フィリピン国内で再利用されるという「セカンドライフ」が待っているそうです。

18地域のアート作品を鑑賞できるスペース(ⓒPhilippine Pavilion / Tellart)
AI技術で体験するフィエスタ(祭り)のイメージ(©Philippine Pavilion / Tellart)

大阪市で7月に開かれたレセプションで、駐日フィリピン共和国特命全権大使 のミレーン・J・ガルシア=アルバノ氏は「日本との強い連帯を示すため、万博参加を決めた。編み物を伝統工芸だけでなく、人と人のつながりにたとえて表現し、両国の関係を強化したい」と意気込みました。縦の糸はあなた、横の糸はフィリピン、そんな縁を深める体験が期待できそうですね。(伊)

ミレーン・J・ガルシア-アルバノ氏=7月、大阪市