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まつり縫いをしながら。

私は背が低いので、スカートやパンツの裾上げは必須だ。

お店で購入したときにそのまま裾上げに出してもらうこともあるけれど、
ネットで購入した場合など、やむなく自分で調整することもある。

いつもと同じ股下の長さを指定しても、生地の素材によってはほんの少しだけ短かったり、逆に微妙に長かったりすることがある。短いと長さが足りずもう直せないことがある。そうなるとテンションが下がってしまい、結局使わなくなってしまうことがあるからだ。

だから、時々自分で裾上げをする。
選んだときのテンションそのままで、スカートやパンツを気持ちよく履きたいから。


こういうのは裾上げサービスがないので、必然的に自分でやることになります


そのとき、ミシンを使う方が早いのに、なんとなく手でまつり縫いをしてしまう。

長さを決めて、アイロンをかけて裾の部分を整えながら、今回はミシンを使おうと考えている。でも、ミシンを出して用意するのが面倒だなあとか、下糸を新しく巻かないといけないのも嫌だなあとか、いろいろ考えているうちにそれだけで疲れてしまう。もともと裁縫は得意ではないし。

ミシンで縫うとあっという間に出来上がるけど、でもまつり縫いになってしまう。時間はかかるし、肩は凝るけど。

最近気づいたのだが、このまつり縫いが案外好きなんじゃないかと。




アイロンをかけて裾の部分を整えて
まち針をつけて布が動かないようにすると、
あとはそのまま縫うだけ。

裾上げは
たいていはやらないとしょうがないから始めるのだけれど、
作業をしているうちにテンポよくなってくる。
軌道に乗ってくると、
なんとなく集中している自分に気づく。


まつり縫いの
布を少しだけすくうときや
ちょっとずつななめに針を入れていく過程は、

最初はちょっとぎこちないけれど
リズムに乗ってくるとなんだか気持ちが落ち着いてくる。
単純な動きに変わってきたら、頭の中がすっきりしてくる。

音楽を聴きながら、または動画を耳だけで聴きながら、
のんびりとした気分になれる。


たいてい、明日までにやらないといけない状況まで
手をつけずに延ばし延ばしにしていて、

後回しにしてしまうので、作業は深夜になる。

家族が寝たあとだから、家の中も外も静か。

音楽だけが、
動画で喋っている誰かの声だけが
はっきりと聞こえる。

眠いけど、この時間はなんか好きだ。

正直めんどくさいし
できればしたくないけれど、

ただ手を動かしながら
音楽や話し声を聴いているとき、

なんかすっきりするような
満ち足りた感覚になる。


針を動かしていると、
なんか私がんばってるなあって思ったりする。

この静かな空間は、
私だけしかいない世界のような気がしてくる。
ひとりじめしているのが嬉しくなってくる。


この時間をひそかに楽しみにしているかもしれない。


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