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仕込さんのお稽古

こんにちは、もとおどり子です。
前回の投稿より少し間が空いてしまいました(^^;)

早速、つづきをお話していきます。
前回の記事『お別れ』で本格的に置屋さんに入り、仕込さんとしての生活が始まった14歳の秋。

今回は仕込みさんの修行期間のことを、、、。
住み込みでの仕込さんの生活、もちろん慣れたり覚えるまでは、出会うお人
聞こえてくる言葉、初めて目にするもの、どれも新鮮で、上手く言葉にはできませんが、【花街の中】で生活している人達は、別世界の住民のように見えていました。

なので、私も早く【花街の中】の人になりたい!と鼻の穴を膨らませながら毎日奮闘していました。
仕込さんは舞妓さん⁽芸妓さん)になる為の修行期間なので、芸事を最低限きちっと覚えて、お客さんの前で披露できるくらいまで、お稽古をします。
舞妓さん、芸妓さんに無事なれたら、お稽古はしなくていいわけでは無く。
舞妓さんは芸妓さんになる為の修行期間なので、舞妓さんになっても、お稽古、修行はつづきます。
そして、芸妓さんになっても、ここは序列の世界、若い芸妓さんは、自分の芸を極める為に、より一層努力します。年数の長いベテラン芸妓さんも、一緒に同じお稽古場でお稽古をするんです。

『芸に終わりはない。』
私の好きな言葉です。一つの信念を持って芸を極め続ける姿は本当にかっこいいんです。偉そうにいいますが、そんな風に生き続けてきた姉さん方を近くで見て、肌で感じてきたもので、思い出すと熱くなってしまいます。


あああああああああああああ!!!!!!また脱線!
もっと語りたいですが、今日はここまで。
なんかお決まりになってきてます、すんまへん。

では、仕切り直し✋
仕込さんにはいり、少し置屋さんの生活に慣れてくると、お母さんが「ぼちぼち、お稽古始めさせよか」と言って、舞のお師匠さんへお稽古始めのご挨拶をする為に、お稽古着を着て、歌舞練場の舞のお稽古部屋まで、お母さんに連れていってもらいました。
ドキドキ緊張しながら、言われるがまま、慣れない廓ことばで、お師匠さんにご挨拶をしました。
「ここでは、先生方は、【おしょさん】て言うのんぇ」
「おしょうさん、ちゃうえ。おしょさん、ぇ」

ますます、【花街の中】っぽいですよね‼
因みに、細かく言いますと、【おしょさん】と言うても、師匠全員が振り向きますので、師匠の名前を前に付けて、【○○さんおしょさん】と呼びます
イントネーションも、要注意です(笑)間違えるとずっといじられるかも!

仕込さんの修行期間のお稽古として、舞のお稽古以外に鳴物のお稽古があります。この二つが、舞妓さんになる為の必須科目になります。

鳴物(なりもの)とは、お囃子のことです。
お稽古をする順番としては、お太鼓(おたいこ)から始まります。
拍子や間のとり方、掛け声をする事に少し慣れてきたら、今度は小鼓(つつみ)のお稽古が始まります。
長唄の音源が入ったカッセトテープを、がしゃこん。と入れて、ボタンを、ぽっち。と押し、四角い木の塊を、白くて先の平たい棒でぺしぺし叩きながらお稽古をしてもらいます。目を瞑るだけで思い出せる光景。ああ懐かしい
鳴物のおしょさんは、柔らかく、優しい、ほぼ怒らないおしょさんで、
お稽古場では、おしょさん命名の愛称や、芸名がついても、本名で呼んでくれたり、優しく癒しオーラが漂う方でみんなに好かれていました。

舞のおしょさんは、真面目だけど色んな事をお話、おしゃべり?笑して下さる、厳しくもあり、優しいおしょさんでした。
甘い物がお好きで、引き出しのなかにお菓子を隠している可愛らしげのある方でした。仕込さん期間のクリスマスは、仕込さんの合同稽古を終えた後、
クリスマスケーキを用意沿て下さっていて、お稽古場で、ケーキをご馳走になりました。緊張感の漂うお稽古場が少し和み、そんな場所でみんなでケーキを食べるという背徳感が、たまらなかったのを覚えています。
クリスマスの存在がまぁまぁ薄い【花街の中】の生活、おしょさんの思いがとても嬉しかったです。


何だかおしょさんのお人柄紹介になりましたが、もちろんお稽古中は真剣にしてました。お稽古場では、芸事は勿論ですが、お道具の扱い方、色んな事にまつわる知識、所作や言葉使いなども、おしょさんに教わります。
いずれ舞妓さん、芸妓さんとなり、舞や鳴物を披露する以外に、知識として芸を身につける事が、お座敷での教養の深さを発揮できる事に繋がります。

舞妓さんの間は、幼さや可愛らしげを出す為に、お客さんに対して、
「なんでも知ってます~」とぺらぺらしゃべり過ぎるな、と教えられますが
年数を重ねた舞妓さんや芸妓さんになると、しっかり身についた芸や知識は身を助けます。能ある鷹は、なんとやら、です(^^)♪


私は、芸事が大大大好きだったので、お稽古日が毎日待ち遠かったです。
と言うのも☝、お座敷が夕方からの芸舞妓さん達のお稽古時間は、早くて朝10時から遅くて15時半位までの間で、仕込さんは、その合間や後の時間のなります。おしょさんの都合で、日中にお稽古が入る事も多々あります。
そして、仕込さんは、舞と鳴物の2つですが、芸舞妓さん達は、必須項目の舞、鳴物、お茶(茶道)に続き、長唄(唄、お三味線)常磐津(唄、お三味線)清元(唄、お三味線)小唄、お笛、お琴(地歌)、様々なお稽古をしています。
沢山のお稽古部屋はありますが、時間や場所の関係もあり、仕込さんの間は何日かに一度のペースでした。修行が佳境に近づき《お試験(舞の)を受けても良い》お許しが出ると、日にちを詰めて、膝が笑うくらいお稽古をしてもらいます。

お稽古を終え、置屋さんへ戻り、お母さんのところへ「ただいまお母さん、お稽古やらせてもらいました。」とご挨拶をし、姉さん方へ「ただいま姉さん」とご挨拶をすませ、又お手伝いに戻る日々。
少しずつ【花街の中】に溶け込むのでありました。

つづく。

~*~ご配慮くださりありがとうございました。~*~


久しぶりの投稿でした~、秋は色々イベント事が多くて中々書けませんでした。高倉健ではありませんが、不器用なんで自分。(-"-)

置屋さんでの、修行も大事ですが、おしょさん方に教えて頂いた事に、助けてもらった事も沢山あり、なんだか感謝状のようになってしまいました。

芸事の話になると、ついつい熱く長くなるので、脱線もしましたが、
今回は仕込さんのお稽古について私の覚えているお話をしました。
時代によって変わっている部分や花街によって違うところはありますが、
今も、歌舞練場で日やお稽古に励んでいることに変わりはありません。

たまに、花街を歩くと、通りに観光客が溢れかえってテーマパークのようになっているのを見かけます。季節によっては夜、舞妓さんや芸妓さんがお座敷に行きかう時間も、観光客が沢山いて歩きずらそうにしています。
私の個人的な意見ですが、舞妓さん芸妓さんはマスコットでも、ゆるキャラでもありません。本来花街は観光スポットではなかったはずなのに、いつのまにか、立派な名所になっていて、本当に足を運んで欲しい、お座敷にあがって下さるお客さんは少なくなりつつあります。
そんな中でも、来て下さるお客様、この文化を知ってもらい残そうと努力している花街の方々に頭が上がりません。

この文化や京都を知ってもらう為に、してきたはずが、少し違う感じになってないだろうか・・・。と現役の頃よく考えていました。
お高くとまることもないと思いますが、【花街の中】の皆、気概を持って
生きています。裏側を除いて欲しい訳ではありません、芸舞妓さん達が
『お客さんの前に立つまでの時間』を少し想像しみたら、本当の美しさを感じてもらえると思います。
心にゆとりを持って、芸妓さん舞妓さんを見てくれる方が少しでも増えることを願って。

長くなりましたが、これにて失礼いたします。
おおきに(*^^*)






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