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ハリウッド映画の終焉
「ハリウッド映画の終焉」を読みました。
著:宇野維正
去年の暮から「現代の世相」「時代の気分」について考えています。
その絡みで、年が明けて2冊の本を読みました。
3冊目となる「ハリウッド映画の終焉」も、映画業界の現在の様子を知りたくて手に取りました。
僕個人の現時点での感覚としては、今すぐハリウッドに「終焉」が来るかどうかは分かりませんが、「大衆娯楽の絶対王者」の座からは降りつつあるのかな? という気がしています。
圧倒的な予算規模という点では、まだまだハリウッドに勝てる場所は無いと思います。
しかし、それは「供給側から見れば」という話です。
受け手である現代の観客・消費者の視点に立つと、既にハリウッド映画は数ある娯楽のうちの1つ、それ以上でも以下でもないという立ち位置の気がします。
絶対王者こそがハリウッドの存在意義、絶対王者の座から降りたハリウッドなんてハリウッドじゃない、というのなら、たしかに「そんな状況は終焉を迎えつつある」と言えるかも知れません。
「ハリウッド映画の終焉」の「おわりに」の章に、以下のような文がありました。
「映画館で観る映画」は、見世物小屋の催しへと原点回帰(フランチャイズ映画や低予算ホラー映画)する流れもある一方で、評価の定まっている過去の作品や名の通った監督の新作に関しては、20世紀後半にその最盛期を誇ったアートとして「美術館で鑑賞する絵画」や「オペラハウスで観劇するオペラ」のようなポジションに落ち着いていくのではないだろうか。
これに関しては「あー、そうかもなぁ」って思いました。
上に挙げた岡田斗司夫「ユーチューバーが消滅する未来」にも、これからは色々なジャンルで二極化が進むような話があったと記憶しています。
僕個人の感覚を言わせてもらうと、
「せっかく映画館に行ったんだから、それに値する『何か』を持って帰りたい」
と思っている節はあります。
ここで言う『何か』は、莫大な製作費を投じて作り込まれた絢爛豪華さだけを指している訳ではありません。
藤野知明監督のドキュメンタリー映画「どうすればよかったか?」を観終わった時の、考えさせられる感じも『何か』です。
だとすると確かに、いかにも「普通」な映画には食指が伸びづらい傾向は有るかも知れない。
それと、「ホラー」は、数ある映画のジャンルの中でも特殊な位置付けにあるように感じます。
不思議ですよね。なんでホラーってだけでハードルが下がっちゃうのかな。
いずれにしろ大衆娯楽の主役は若い消費者ですから、これからの映画界の方向性は、若い観客が決める事でしょう。
追記(2025.1.10)
広くエンターテイメント全般に視野を広げると、コンピュータ・ゲームの世界で「トリプルA」と呼ばれるタイトルの予算規模は、既にハリウッド映画に匹敵するみたいです。