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魔術師

江戸川乱歩の「魔術師」を読みました。

ネタバレ注意!
この記事には江井戸川乱歩作「魔術師」「吸血鬼」「黒蜥蜴」のネタバレが含まれます。

江戸川乱歩は昔から好きで、全部とは言いませんが彼の作品のうち8~9割くらいは読んでいると思います。
とくに通俗物と呼ばれるエンターテイメント寄りの作品は、だいたい10年くらいの間隔を空けて繰り返し読んでいます。

去年あたりから、また乱歩ものを読みたい気持ちが湧き上がって来ました。
Wikipedia によると、明智小五郎を主人公にえた大人向け長編探偵小説は、以下の順で発表されています。

  1. 「一寸法師」

  2. 「蜘蛛男」

  3. 「猟奇の果」

  4. 「魔術師」

  5. 「黄金仮面」

  6. 「吸血鬼」

  7. 「黒蜥蜴」

  8. 「人間豹」

  9. 「悪魔の紋章」

  10. 「暗黒星」

  11. 「地獄の道化師」

  12. 「化人幻戯」

  13. 「影男」

なるべくこの順番に従おうと思い、少し前に「一寸法師」「蜘蛛男」「猟奇の果て」を読んでいたので、今年最初の乱歩ものとして「魔術師」を選んだという次第です。

乱歩の小説は複数の版元から出ていますし、既に著作権が満了しパブリック・ドメインになっているので青空文庫などでも読めます。
今回は光文社文庫版を読むことに決めました。特に理由はありません。強いてげるなら、今まで読んだ事のない版だったから、といった所でしょうか。
目次を開いたら「魔術師」だけでなく「吸血鬼」も載っていました。

「一寸法師」「蜘蛛男」「猟奇の果て」は面白かったし、今回読み直した「魔術師」もまあまあの出来でした。
「吸血鬼」に関しては、少し物語のパワーが落ちているな、と思いました。
サービス精神を発揮して、何とか読者の歓心を得ようという努力のあとは見られるのですが、いかんせん物語本来のパワーが落ちているため、ちょっと退屈に感じました。

光文社文庫版の乱歩全集は、作者自身の解説を収録しているのが特徴です。
その解説からも「吸血鬼」執筆の苦労がうかがえます。

「魔術師」で犯人の娘として登場し、明智小五郎との間にほのかな恋愛模様の描かれた文代が、「吸血鬼」で明智探偵事務所の助手として再登場し、エピローグで明智との結婚にまで至るという展開が、面白い。
明智小五郎と犯人の恋と言えば「黒蜥蜴」が有名ですが、機会があったら「魔術師」と「黒蜥蜴」を読み比べてみたい。

〈名探偵〉という架空の主人公を、あくまで人間離れ・浮世離れした非現実的な存在として描くか?
それとも、ある程度は地に足のついた生身なまみの人間として描くか?
この辺りにも塩梅あんばいの妙があると思いました。

明智探偵事務所がらみで、もう1点。
のちに「少年探偵団」のリーダーとなる小林少年が、「吸血鬼」で初登場します。

次は「黄金仮面」を再読してみます。

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