『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』『毒』|2025:映画の記録 vol.14

(前回はこちら)
はじめまして、京です。
昨日の『ドクター・ストレンジ』のベネディクト・カンバーバッチから脱線して2作。今年初の中短編作品。

さっそく今日も1日↓



『ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語』

"ストレンジな一作"

小説の実写(映像)化に、こんな魅せ方があるとは。

動き(映像)で表現出来るはずの地の文が)会話を遮る独白の形)でたしかに存在し、映像では問題のないはずの同時多発的な行動が、(同時に進めることのできない)文章のまま順を追って進められるぎこちなさ。

映像にすることで良くも悪くも取り除かれてしまう、こういった小説の構成要素がそのまま存在してるような不思議な感覚。(さらに言えば、上記の要素なんて取り除く方が正解な気がするし、あえての選択がバチンとハマった印象。)

そんな小説としてのぎこちなさにハマる。
(作品の中の)作品の登場人物だからか、創られたものとして意識があるように規則に忠実に行動するキャラクターも、読者(観測者)の意識が表れたような、回り込みをしない定点的なカメラワークなど、とにかくそんなぎこちなさに惹き込まれる。

そして、カメラワークと言えば映像としての不思議さ。
伝聞の伝聞によって、レイヤー構造のように存在する話者を、画面上の奥行きを利用して展開していくのが面白い。画面上に消失点(奥行きのゴール)が存在する1点透視の構図も最高。見えているはずなのに永遠にたどり着けないゴールには気が遠くなり、気を抜くと物語に置いてかれそうになった。

そんな中で、1点透視が唯一お金をばら撒くシーンで崩れるんだけど、どういう意味なんだろう。

短いながらに圧倒的な個性を感じた。
すごい作品に出会ったと浸ってたら、アカデミーの短編受賞してる。なるほどね。


『毒』

"人間の滑稽さを感じる一作"

さらに、もう1本。
監督同じにしても、出てる人同じすぎて脳みそバグりそうやったけど、オムニバス作品ってこと後で知って納得。

実にショートショートらしい作品。
ヘビが布団に忍び込んだという突拍子のない設定から、なんとかヘビを刺激しないように格闘する3人の様子が面白い。あっさりしながらも、ほんのりと余韻が残るオチも良かった。

タイトルの毒は、見ている間はヘビの「毒」だと思ったけど、そんなヘビに追い詰められる中で、毒づき合う人間の滑稽さなのかな?


非常にユニークでややダークさも感じる作品たちだった。原作のロアルド・ダールの雰囲気もあるんだろうけど、その魅力を映像作品としての魅力に昇華しているウェス・アンダーソン監督の手腕あってこそなんだろうなと。ぜひ残り2作と『アステロイド・シティ』も観てみたい。

最後まで読んでいただきありがとうございます!
74日目
難しい言葉を使ってるときは、処理が追いついてない証拠。

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