(無料公開中)No.19 - 私の上司は、赤いポルシェに乗っている。
こんにちは、安斎響市です。
今日は、「お金」と「生き方」のお話です。
突然ですが、
私の今の職場の上司は、赤いポルシェに乗っています。
軽井沢に別荘を持っていて、夏の間はしょっちゅうポルシェで別荘まで行って、そこからリモートで仕事をしているようでした。
次は、冬の休暇を過ごす用に、蔵王かニセコあたりに2つ目の別荘を買おうと検討しているらしいです。
そんなに家、要らんやろ! と思いますが、要するに「税金対策」です。
別荘と言っても、ググってみると1,500万円〜2,500万円くらいで売りに出ているものも結構ありますし、私の上司(外資系IT企業の事業部長クラス)の年収は推定4,000万円以上なので、別に買おうと思えば買える金額です。
車も、別荘も、「節税」には打ってつけです。
結局、日本の法律だと、稼げば稼ぐほど税金を持っていかれるので、たくさんお金を稼いでも、その分だけ生活が良くなっていくわけではありません。
有名な話ですが、年収1,000万円を超えると様々な手当支給や税金の控除がなくなるので、逆に生活が苦しくなると言います。年収700万円くらいが最もコスパが良いと主張する人もいます。
以前の記事にも書きましたが、私の会社の役員クラスまで行くと、年収は4,000万とか5,000万とかそういうレベルではないので、本当に、税金対策どうしているんだろう? と思います。
出世してお金持ちになれば、「幸せ」なのか?
結局のところ、ビジネスで成功してお金さえ稼げればすべて上手くいくのかというと、そんなことはなく、稼げば稼ぐほど、考えないといけないことも増えますし、多方面で真剣に頭を使わないといけなくなります。
そして…… 私がふと思うのは、
赤いポルシェに乗って、別荘から優雅にリモートで仕事をする生活が、果たして本当に幸せなのだろうか? ということです。
上司がいつも乗っているポルシェは、2,000万円くらいの値段はするようです。
かつて、私の日系大手メーカー時代の上司が得意げに運転していたアウディはせいぜい400万~500万くらいの車種なので、やはり日系企業と外資系企業の格差は凄まじいなと思います。
その日系大手の人も、有名グローバル企業の本社所属・管理職としてそこそこ出世しているので、世間一般的に見れば十分に「成功者」なのでしょうが。
ただ、私自身は、日系大手メーカー時代の上司を見ていても、現在の外資系大手IT企業の上司を見ていても、「10年後、20年後にあんな風になりたい」とは到底思えないんですよね。
「あんな風にはなりたくないな」とさえ思います。
本心です。
自分が45歳とか50歳になったときに、管理職としてビジネスの状況報告の資料作りをしたり、経営会議で来年度の方針を議論したりしてるのって、全然「魅力的な未来」じゃないと感じるんです。
会社員としてどんなに偉くなったところで、結局は、エクセルの数字を眺めてあーだこーだ言ったり、資料を読みながら改善すべきところを部下に指示したり、というだけで、所詮は今やっている仕事の「延長線上」でしかないな、と思うんです。
別に、自分の部署の売上が10%増えようが、15%増えようが、私の実生活にはそれほど直接的な影響がないし、出世して偉くなりたいとも思いません。
もっと出世して、お金を稼いでポルシェを買いたい、フェラーリを買いたい、大きな家を買いたい、別荘を買いたい…
という感情よりも、
自分は一体いつまで、この仕事を続けるのだろうか?
月曜から金曜まで週5日働いて、毎月会社から決まった額の給料をもらって暮らす生活が、10年後も20年後も、ずっと続くのだろうか?
という虚無感、無力感、倦怠感の方が強いんですよね。
過去数年、私は色々と考えて、転職を機に「業界」を変えたり「職種」を変えたりしてみて、そこから学んだこと、得たこともあったのですが、結局は、給料が上がっただけで、日々やっていることはそんなに変わらなかったです。
今の仕事の内容は、決して悪くはないです。毎日楽しいです。
今のところは現状で十分だし、来年、再来年くらいまでは今の仕事を楽しめそうです。
しかし、10年後もこの仕事を続けたいか? というと、結構疑問が残ります。
お金が欲しいかどうかは、人それぞれ
ワガママなのかもしれないけれど、私は、サラリーマンとしての「キャリアアップ」を目指すことに、すでに飽きているんだと思います。
私は30代前半で外資系大手企業の部長クラスの役職に就いていますが、5年後、10年後にさらに出世するために仕事を頑張ろうとはあまり思わないし、上司みたいに、年収4,000万以上稼いでポルシェに乗って別荘を持って、上流な暮らしをしたいとも、あまり思いません。
ポルシェにも、ロレックスにも、高級ワインにも、別荘にも、あまり興味がないのです。
なぜかというと、
私はペーパードライバーだし、時計はApple Watch以外要らないし、お酒は缶ビールを飲んでれば幸せだし、休日は何もしないで家で寝ていたいからです。
お笑い芸人の「さらば青春の光」の森田さんが、TV番組でこんなことを言っていました。
私も、そんな気持ちです。
まあ、そりゃ1億円稼げたら良いなぁとは思いますが、たぶん私の場合、仮に年収1億円稼いだところで、せいぜい妻のFENDIのバッグのコレクションが増えるくらいの話で、生活はそんなに変わらないと思うんですよね。
正直、私は20代の頃、年収500万くらいしか稼いでなかったときも、好きなことに好きなくらいお金使ってたし、年収500万円で満たせる程度の趣味しかないので、感覚的にはそこまで変わらないんです。
単純に、高級ブランドやグルメにあまり興味がなく、物欲もないというだけなのかもしれませんが。
今日現在でも、私が着ている服はユニクロの1,500円のTシャツにZOZOTOWNの5,000円のジーンズですし、スニーカーは高校時代と同じNikeのAIR FORCE 1です。ABCマートで1万円出せば買えます。(リモートワークでほとんど外に出ないので、同じ靴を1年半以上は履いています)
今度、結婚記念日を家族で祝うのも、1人6,000円くらいのお店です。35歳の夫婦が選ぶ場所としては、まったく高級店ではないです。
正直、ハンターハンターの最新刊(528円)が買えれば、私はそれでいいです。それ以外に、大して欲しいものはありません。
私の場合、たぶん年収700万円でも、年収3,500万円でも、年収1億円でも、それほど生活は変わらないんだと思います。そもそも、そんなにお金をかけてまでやりたいことが何もないから。
ポルシェにも、ロレックスにも、高級ワインにも、別荘にも、あまり興味がないし、社内の出世や権力にも、まったく興味がないのです。
「2足の草鞋を履く」という生き方
私が、それほど物欲がないのは、個人的な性格の問題だと思います。
ただ、私が「出世」や「昇進」「昇給」にほとんど興味がないのは、たぶん、副業をしているからだと思います。
自分のサラリーマンとしての年収を500万円増やすより、自分の個人事業での収入を500万円増やす方が、恐らく現実的だという道が、明らかに見えているからです。
ワーカホリックな社畜のように、毎日深夜残業して会社に尽くすくらいなら、会社の仕事はそこそこ普通にこなしつつ、「副業の時間」を捻出して、自分が好き勝手にやれる「個人ビジネス」に時間を割いた方が有意義だと、本心から思っています。
5年後、10年後、今と同じ会社にいるつもりは全くないし、この会社の社内で現在の「部長クラス」より上に上がりたいという願望もないので、仕事は、そこそこ楽しめればOKで、それ以上の「出世」とか「昇給」を期待していないんですよね。
私は、個人的に、これが現代のサラリーマンのあるべき姿じゃないかな、と思っています。
つまり、2足の草鞋を履くということです。3足でも4足でもいいです。
会社員としての自分以外に、他のビジネスの顔を持つということです。
そうすれば、会社の社内の出世など大して気にならなくなりますし、上司の機嫌を伺ったり、同僚との人間関係のために行きたくもない飲み会に参加したりすることも全く必要なくなります。
会社以外に、自分が「拠り所」とすべきもの、会社以外の「収入源」があれば、精神的に、会社からは解放されて自由になれます。
私がこの考え方に至ったのは、日系大企業時代の先輩の影響です。年齢は私より一回り上で、もうアラフィフの方ですが、現在は日系中堅メーカーのヨーロッパ支社の駐在員として、スペインのバルセロナに住んでいます。
彼は、30代で書籍を2冊出版し、40代で副業で1億円規模の投資をしていました。私の人生の師匠の一人です。
2足でも3足でも好きなだけ草鞋を履いており、会社に、まったく依存していないんです。
会社員としても一定の成功をおさめつつ、同時に、幾つものビジネスを個人で動かす複合的なキャリアを自分自身の手で作り上げる、という生き方を、私は彼から学びました。
自分の長期的なキャリアの中に、「会社の中で出世する」以外の選択肢を常に持っておくということです。
会社員としての「出世」を追いかける人生は非常に苦しく、不毛なものです。しかし、かといって、「出世」をあきらめて、窓際族として定年退職まで「消化試合」をする人生も、それはそれでダサいですし、何だか卑屈な生き方で面白くありません。
ひたすら「出世」を追う人生は、苦しい
「出世競争」って、どこまで行っても不毛です。
くだらない、偉い人のご機嫌取りの世界です。外資系の大手企業ですら、現実はそうです。
私の元上司が、昨年、私が所属する外資系大手IT企業を退社して、某有名企業の常務取締役に就任しました。
次期「社長」候補という話で、本人も期待していたようです。
しかし、1年後、蓋を開けてみれば、次期社長に就任したのは彼ではなく、全く別の人物でした。
彼は、出世競争に負けたのです。
「社長」の椅子を取れなかったのです。
この方は、東大卒 ⇒ スタンフォード大学MBAを経て、某日系大手企業の海外事業総責任者(執行役員) ⇒ 私が所属する外資系大手企業の日本法人・事業本部長 ⇒ 某世界的有名企業の常務取締役という立場で、いわゆる超エリート層なのですが、結局は、社内政治には負け続け、今も、「誰かの靴を舐めている」のに過ぎません。
めちゃくちゃ、カッコ悪いです。
私は、このエリートサラリーマンよりも、先ほど挙げた日系大企業時代の先輩の方が、はるかに自由でカッコいい生き方をしていると思います。
結局のところ、サラリーマンって、仕事ができるか、優秀な人かどうか以上に、「タイミング」や「コネ」が無いと、決して上手くはいかないのです。
そして、その「コネ」を手に入れるための日々の涙ぐましい泥臭い努力を考えると……
私は、自分の人生の中で、大部分の時間を費やして「出世競争の頂点を目指したい」とは、全く思えないんですよね。
そんなことに自分の人生を費やすくらいなら、副業でそこそこ稼ぎつつ、会社員の仕事は適当に流して、毎日家でのんびりしていたいです。
課長・部長より上の「経営幹部」まで出世して会社の上層部まで上り詰めようと思うと、仕事の大部分が、ビジネスの本質ではなく、社内政治になります。
出世を追う人生は、苦しいです。きっと。
おわりに
色々と話が飛んでしまいましたが…
まとめると、
「高級車」「別荘」みたいな、いわゆる「成功者」になりたいかどうかは、人それぞれの考え方次第
いくらお金があっても、会社の中で評価されるために頑張るのは「社畜」でしかなく、精神をすり減らすような不毛な生き方になってしまう
転職や副業などで、「現職の会社の中での出世」以外の何らかの生きる道を、常に確保しておくのが大事
こんなところです。
このトピックは、私自身も、ある程度迷いながら書いているので、どこにも「正解」はないのですが…
少なくとも、自分の人生の方向性は、「隣の青い芝生」に左右されることなく、お金や資産のような「他人の物差し」ではなく、自分自身の判断基準でズバッと決断して生きていきたいですね。
会社都合で何でも動く、便利な「忠犬ハチ公」に徹するのが、自分の人生にならないように。
以上、今日は、社畜になれない君へ…… 私と同じようにキャリアに悩む多くの方へ贈る、「お金」と「生き方」のお話でした。
お相手は、安斎響市でした。
転職攻略noteや書籍も、よろしくお願いいたします!!
頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。