(無料公開中)No.39 - 1週間、沖縄で働いてみて思ったこと。
こんにちは、安斎響市です。
実はいま、沖縄にいます。
「ワーケーション」というヤツです。
GWに入る前の1週間、あえて混雑する時期の直前を狙って、家族で沖縄で過ごしております。大変快適です。
「サボり」ではありません。「ワーケーション」です。
PCは持ってきていますし、仕事も滞りなくこなしております。打ち合わせは極力入れないようにしております。
ワーケーションは過去に何度かやってみていて、私は海の見える場所で仕事をするのが好きなので、昨年/一昨年は神戸や横浜などにも行きました。
コロナ前は海外旅行ばかり行っていたので、実は沖縄は10年以上振りなのですが、やっぱり良いですね。のんびり過ごせます。
フルリモートで、仕事とプライベートの境目がなくなった
沖縄にいる間も、一応、1歳の息子が昼寝をしている間に仕事を片付けたり、夜の時間帯に少し働いたりして、自分の担当業務はしっかりとこなしています。
一方で、当然1日8時間も働いていないので、昼間から温泉に入ったり、子どもと海で遊んだり、イルカと触れ合ったりしております。
明日は、美ら海水族館に行く予定です。
「サボり」ではありません。「ワーケーション」です。
なぜ、こんなことが成り立つと思いますか?
一言でいえば、フルリモート、かつ、裁量労働制の会社で働いているからです。
もともと、私の仕事はフルフレックス・完全裁量労働扱いで、管理職の私は労働時間の細かい管理もしていないので、1日に1時間か2時間しか働いていないとしても、会社のルール上、何の問題もありません。
仕事のパフォーマンスは普段より多少下がると思いますが、私の部署では3月に大きな仕事を終え、ちょっと閑散期に入っているので、特に支障はありません。
忙しい時期は夜中3時までアメリカのチームと会議をしていたり、何週も連続で休日出勤したりしていたので、その分、自由が利くときには自由に働かせてもらっています。そういう環境の会社です。
以前、ゴリゴリのJTC(日系老舗企業)で働いていた頃は、こんな日が来るとは私も思っていませんでした。
当時は、毎日オフィス出社が必須でしたし、フレックスタイム制などと言いながら朝8時半から朝礼とラジオ体操があるので毎朝その時間に来ていないと怒られる、という謎の状況でした。(フレックスタイムは前々日までに申請して、理由が正当なものであれば上司が承認する)
昼休みは12:00~13:00キッカリと決まっていて、それ以外の時間帯に会社の敷地の外に出るためには「外出届」を出して上司のハンコをもらわないといけない、という環境でした。
そんな日々からほんの数年しか経っていないというのに、私の日常は、外資系の自由な会社に転職したことによって、ガラッと変わりました。
ワークライフバランスというか、もはや、ワークライフバカンスです。
沖縄で私が泊っているリゾートホテルも、GW期間中だと1泊8万円以上と高額ですが、GW直前の一番空いている時期なので、直前に予約を取ったにも関わらず、1泊3万円くらいで宿泊できました。
もはや、GW連休だから旅行に行くとかじゃなく、仕事の都合さえ付ければ、自分の好きな時に旅行に行けます。
仕事とプライベートとの境目がほぼなくなり、休暇を過ごしながら仕事のタスクをこなす、ということが普通に可能になったのです。
出社回帰する企業と、フルリモートが定着した企業
一方、世の中では「出社回帰」の流れがあるようで、東京都心のオフィス出社率は7割を超えたそうです。
首都圏では約4割の企業がリモートワークを導入しており、今後も継続予定という政府統計があるものの、そのうちの一定数はフルリモートではなく、週に2日か3日くらいは出社を義務付けているということですね。
確かに、一時期に比べて、出社回帰に踏み切る会社は随分増えました。
まあ、週に2日か3日、出社だとしても、週5で毎日満員電車通勤よりはいくらかマシなのかもしれません。
しかし…
「フルリモート」と、「週に何日かリモートワーク」って、根本的に別物なんですよね。
だからこそ、一部の大手IT企業では、出社義務化を発表したことにより社員から大ブーイングを受け、離職が進んでしまったところもあります。
私の会社でも、同じような動きが昨年ありました。
「出社義務付け」に対する反発があまりにも大きく、実際に一部の社員は競合他社に転職してしまったため、経営陣もやむを得ず、「出社を推奨するが、最終的には個人とチーム管理職の判断に任せる」という、ゆるいガイドラインを敷くに留まりました。
当然、結果としては、誰も出社していません。
経営側からすると、リモートワークでは愛社精神なんて絶対に育まれないし、チームメンバー同士の人間関係も希薄になるのは間違いないので、社員を出社させたいという意思は理解できるのですが……
「出社」というマイナスをカバーするだけの魅力的な会社じゃないと、実際には、出社回帰は無理でしょう。
この会社でこの仕事ができるなら、まあ、出社してもいいか…… 的な話です。
オフィス出社は、もはや、ほとんどの人にとって「マイナス要素」になってしまいました。
特に、一度コロナ禍でフルリモートに馴れてしまった会社では、もう社員の心境的に、週2日だろうが何だろうが出社に戻すというのはあり得ない、というのが本音な気がします。
フルリモートを未経験の状態なら、こんなことは思わなかったでしょうが、もう「知ってしまった」ので、今さら元の仕事の仕方には戻れません。
スマホが無かった頃はガラケーで十分でしたが、今さらスマホ無し生活には戻れないのと似ています。
コロナ禍とリモートワークって、そのくらい不可逆な変化でした。
私の会社の同僚には、フルリモートで働くための仕事部屋を確保するために、それまで住んでいた家を売って、郊外に広めの家を新しく建てた人もいます。
福岡に引っ越した人もいます。
関西の実家に戻った人もいます。
車椅子生活の同僚は、フルリモートになったことによって、通勤から解放されて本当に良かったと言っていました。
昨年、「フルリモートで働ける」という条件で台湾在住の方を東京オフィスの社員として採用したチームもありました。
私のように、年に1回か2回はワーケーションに行きたい人もいます。
まあ、旅行を抜きにしても(笑)、私の家庭は子どもが2人共まだ幼く、私の実家も妻の実家も自宅から非常に遠いため、家事育児の環境はフルリモートにかなり助けられています。
これらの事例すべて、会社側が「フルリモートはやめて週に最低2日は出社しなさい」などと言い出した時点でひっくり返ってしまうのです。
「週に数日リモート」というのと、「フルリモート」は、全然ちがいます。ほぼ別物です。
色々なことが、フルリモートでなければ成り立ちません。
そりゃ、「じゃあ辞めます」という社員もいるでしょう。
会社全体の生産性がどうとか言われても、実際、過去3年くらいフルリモートで仕事を維持できていたという事実があるので、社員一人一人からすると、「もうずっとフルリモートでいいじゃん」と思ってしまいます。
出社義務付けの話が出た時に、競合などから「フルリモートで働ける弊社に来ませんか?」と誘われたら、転職してしまうかもしれません。
こうして、会社側の意思とは反して、一部の企業にはフルリモートが定着しました。
もう、出社に戻したくても戻せない、と言った方が正確かもしれません。
同じような道を辿る企業は、他にもありそうな気がしています。
よほどの社畜でもない限り、仕事の進捗や会社の生産性最大化より、自分自身のワークライフバランスや働きやすさの方が大事ですからね。
フルリモートだと成果が落ちるという話も、絶対にそうだとは証明しきれないですし、納得感がありません。
仕事ができて優秀な人ほど、自分が働くべき職場選びにはシビアです。
引く手数多の人材なら、いくらでも仕事を選べるので、わざわざ待遇の悪い職場で我慢する必要がありません。
「たまには出社したい」という人もいるかもしれませんが、フルリモートの会社はたいてい出社有無の自由があるので、行きたければ毎日オフィスに行くこともできます。
これは、よく言われている「ハイブリッド型」という意味ではなく、完全に個人の自由ということです。毎日出社してもいいし、1年に1回も会社に行かなくてもいい。
今後も、「フルリモート」という最強の福利厚生を手にすることができる人材と、「週2日」と言われれば週2日出社し、「毎日」と言われれば毎日オフィスに行く、会社の方針に全面服従するだけの人材との完全な二極化は、ますます進んでいくような気がします。
おわりに
最新の政府統計によれば、首都圏のリモートワーク実施率は39.6%、そのうち週5日以上在宅勤務(フルリモート)の割合は21.7%なので、ざっくり推計で、首都圏のサラリーマンの 8.6% はフルリモートで働いている計算になります。
つまり、12人に1人くらいはフルリモートです。
これを多いとみるか少ないとみるかは人それぞれですが、全体の 9%弱と言われると、フルリモートって言うほど珍しいことではないと私は思います。
もちろん、フルリモートが全ての人にとってベストな働き方かは分かりませんが、個人の生活にとってリモートワークの恩恵が大きいのは明らかですし、
今後、週に何回出社するか会社に勝手に決められるより、自分で自由に決められた方が良いのは間違いないので、「リモートワークなんて一部の人だけの話でしょ」と斜に構えずに、自分にとって働きやすい環境を追求し続けるのが大事だと思います。
具体的に、フルリモートで働ける会社ってどんなところ? どうすれば見つけられるの? という話は、また今度書きます。
以上、今回は、沖縄県国頭郡よりお送りいたしました。
お相手は、安斎響市でした。
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頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。