5年後に退職する新卒サラリーマン【第三章】 (25)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから。
物語は、ついに始まってしまった。
第三章(25話)にして、ついに、そのときが来たのだ。
安斎がちょっと前から調子こいて「行きつけの店」と呼び始めた、アメリカンダイニング・Deep Impact(ディープ・インパクト)。
大人の社交場。
クラシックなダイニング。
君の瞳に生ビール。
今日は、オーナーの矢沢さんはやや遅めの出勤らしく、この時間帯はアルバイトのケンさんが店を切り盛りしていた。
もはや、バイトリーダーどころか、この人がオーナーなんじゃないか? というくらいの圧倒的な風格を漂わせるケンさん。
笑いの神に完全に見放されている男・ダイナマイト健児。
彼の持ちギャグ「わっしょい!!!」は、今まで一度たりともウケたことがないのだが、一応、松本興業所属のプロの芸人。
いや…… プロって何? と言われると、よく分からなくなる。ケンさんは、芸人としての収入は月5,000円くらいしかないらしく、アルバイトを3つ掛け持ちして生計を立てている。
1円でもお金を稼いでいるならプロと呼ぶのか? と言えばそんな気もしないでもないが…
じゃあ、有料noteが1冊でも売れれば「プロの作家」なのか?
Spotifyで自分が作曲した楽曲を投稿して、広告料が100円でも入れば「プロのミュージシャン」なのか?
なんか、ちがうような気がする…
いや、そんなことはどうでもいい。
そんな場合ではないのだ。
大事件なんだ。
物語が、始まりそうなんだ。
カラン、カラン…
店の入り口に立っていたのは、
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頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。