5年後に退職する新卒サラリーマン【第五章】 (3)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから。
第三章 <空前絶後の広島出向編> は、こちらから。
第四章 <忍び寄る海外営業部配属編> は、こちらから。
「うん、うん、うん……。
そうね、まあまあ、なるほどね」
「・・・」
上司・エリカ様の資料レビューが続いている。普段、周りに営業スマイルを振りまいて常に冗談ばかり言っているエリカ様が、いつになく、真剣な顔をしている。
彼女は、美人で人当たりが良いというだけで、営業課長の座に就いているわけではない。社内の誰もが認めるキレ者なのである。
その口から出た、私の資料に対するフィードバックは、想像していたものとはちがっていた。
「うーん、安ちゃん、惜しいッッ!!
もう一回、じっくり考えてみてくれる??」
「・・・??
え?? 『惜しい』………とは…??」
「課長…… えーと…… 今回の私の提案は、既存の商品ランナップの派生モデルとして、中のソフトウェアだけを中国仕様にした新モデルを、新価格で投入しようというものですが、、、」
「ええ。そうね」
「惜しい、というのは、、、」
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頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。