5年後に退職する新卒サラリーマン【第三章】 (2)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章<戸惑いの新入社員研修編>は、こちらから。
ここは広島県広島市。
市街の中心部から徒歩15分ほど、原爆ドームがある平和記念公園近くの「十日市町」という住宅街。
そこに、安斎とチャラ澤が住む、借上げ社宅はあった。
借上げ社宅と言っても、会社が契約者であるというだけの築浅単身マンションで、1人で済むには十分だった。
すごいな……
さすがは大企業。
こんな新しくて綺麗なマンションに、自己負担たったの「月6,000円」で住めるのか。ガチで福利厚生ハンパないな。
元の家賃は8万円…
7万4千円も、会社が毎月出してるってことか。
私が大学時代に住んでた、大宮のはずれの家賃3万6千円の木造アパート(築35年)とは大違いだぞ。
「ええやないの! ええやないの!」
チャラ澤が、興奮気味に言う。
彼は、確か、もともと出身地は栃木だったか茨城だったか、とにかくその辺なのだが、大学が立命館大学で最近まで関西に住んでいたためか、コテコテの「エセ関西弁」を喋っている。
「ええやん! めっちゃ綺麗な部屋やん! これなら女の子毎日連れ込めちゃうやん! いやん! バカん!安斎君ったら!」
バシッ!!
「いて!! 何すんだよ、チャラ澤~~」
チャラ澤が、こっちを見てニヤけている。
彼は大学時代、よくこんな言葉遣いと絶望的なお笑いセンスで、関西人にブチ殺されなかったものだ。
いや、それより……
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頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。