5年後に退職する新卒サラリーマン【第三章】 (14)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから。
新人営業マンとして覚醒しつつある、安斎響市。新卒1年目、広島支店配属。
商談の数は徐々に増えてきたし、営業担当としての手ごたえも感じていた。
株式会社L&Ps(ラブアンドパンティーズ)の広島支店では、見込み客のことをPP(Prospective Purchaser)と呼んでおり、PPリストと呼称される管理表で営業担当一人一人の進捗状況を追っていた。
「安斎ッッ!! 今月のPPはどんな感じなんじゃ!? 進捗報告しんさいな!」
「ハイッ!! PPランク "A" が今のところ2人ほど。西田さんと坂本さんです。推奨機種はそれぞれ、PSX-Standardと、PSX-Basicです。今月か、来月までには何とか受注を決めたいと考えております!」
「2人かぁ…… 今月は、営業課全体で予算達成が厳しい状況じゃけんね。このままだと、四半期予算も足わんわい。そのAランク、2人とも、今月末までに成約できんかの?」
「………はい、尽力させていただきます。実は、西田さんの方、もう一押しで決まりそうなのですが、価格交渉がファイナライズできていません。クローズのためには、もうワンステップのディスカウントが必要になりそうです。藤原次長、後ほど、ディスカウントのアプルーバルをご相談させていただけると幸いです」
「ほうほう、じゃあ、その話は後で聞こうかいのう」
もはや、意識高い系になりつつある安斎。
いや、ルー大柴になりつつある、安斎。
と言っても、2022年現在、一体、誰がルー大柴を知っているというのだろう?
「Z世代」には到底分からないネタであることは、確かだ。
筆者である私は、実は、もうすぐアラフォーのオッサンで、「Z世代」どころか、「さとり世代」でも「ゆとり世代」でもないわけだが。
まぁ、いいか。
細かいことは考えず、トゥギャザーしようぜ。
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