![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/97513809/rectangle_large_type_2_7a2b21d96f2e34b9e63f1b6e3c2756dc.png?width=1200)
5年後に退職する新卒サラリーマン【第四章】 (10)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから。
第三章 <空前絶後の広島出向編> は、こちらから。
「この部署が本当に好きだった」と涙する、沖田さん。
彼は、その感情を押しつぶすように、「心機一転、新しい部署で頑張ります」と、みんなの前でスピーチをした。
その言葉に、安斎はまったく共感できなかった。
沖田さんへの共感というより、会社に対する共感が、できなかった。
一体なぜ、こんなにも仕事に対して熱い情熱を持ち、関係者からも深く信頼される沖田さんが、本人が望んでもいない部署に異動しないといけないのだろう??
それって、誰が得をするの?
具体的に何のメリットがあるの??
同じ部署の中には、明らかに情熱も信頼もない、"Windows500" のオジサンたちもいる。彼らは、逆に、長いこと人事異動がなく、ずっとこの部署に座敷童みたいに棲みついている。
あの妖怪たちはずっとこの部署で、まるで暇つぶしみたいにダラダラと仕事をしていて、逆に、やる気と情熱あふれる沖田さんは、別の部署へ突然の配置転換。
その日。
安斎は、「ジョブローテーション」という仕組みに、初めて強烈な違和感を持った。
彼と「大企業」との長い長い戦いは、このときに、始まったのかもしれない。
沖田さんのスピーチには、もう少しだけ続きがあった。
ここから先は
2,667字
/
1画像
頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。