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5年後に退職する新卒サラリーマン【第五章】 (5)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから。
第三章 <空前絶後の広島出向編> は、こちらから。
第四章 <忍び寄る海外営業部配属編> は、こちらから。
「Do you have any question? Anyone? (意訳:このプランに文句のあるヤツ、いる?? いねぇよなぁーー!?)」
99期、第2回・国際会議の火蓋が切られた。
まさに火縄銃を発砲するがごとく、波多野先輩の先制攻撃が炸裂する。
「Frankly speaking… this is not an ideal decision, but, it sounds like… probably the best choice for this moment. (意訳:ちょっと何言ってるか分からない。でも、本社が決めたことだから仕方ないってことね…)」
嫌味の籠った返しをしているのは、ドイツ現地法人のルンゲだ。
彼は、毎回必ず喋る前に「Frankly Speaking… (素直に言うと…)」という枕言葉を付ける。あまりにも毎回必ず付けているので、もはや、素直じゃなかったことがない。
この夏、素直になれなかったすべての女子たちに、彼の素直さを少しだけ分けてあげたい。
「Question? Are you asking for question, or compromisation, Shinji? (意訳:なぁシンジ、それは質疑応答のつもりなのかい? 僕には、降伏命令に聞こえたんだけど?)」
これまた、アメリカンジョークっぽく嫌味を繰り出したのは、波多野さんの北米駐在時代のチームメイト、NY支社から来日したケビンだ。
"Shinji" とは、波多野さんのファーストネーム。何年も一緒に仕事をして、お互いの手の内を分かっているからこそ、そう簡単には折れない。
「Oh, Kevin…… Shinji had no such an intention. Right? Shinji?(意訳:行きなさい、シンジ君。こいつらのメンツのためじゃない。私たちの会社のために)」
すかさず、本社側の司令塔である鈴木課長が、援護射撃…… というか火に油を注いでいる。
頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。