5年後に退職する新卒サラリーマン【第四章】 (13)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから。
第三章 <空前絶後の広島出向編> は、こちらから。
その後も、安斎はいくつかの新しい仕事を振られたものの、彼の「職場への不信感」は、強まっていくばかりだった。
「安斎くん、この仕事、手伝ってもらえるかな?」
「はい、何でしょう…??」
「梱包箱のチェックだよ」
「梱包箱…… 製品の包装パッケージということですか?」
「そうそう、わが社の商材 ”オパンティー” は、店頭で箱売りされることも結構あるからね。裏面の記載に、誤記とか古い内容が無いか、きちんと確認してから出荷しないと、お客様に間違った情報が伝わってしまったりして大変なんだ」
「はぁ…」
「気のない返事だなぁ。この "ver.13" は、僕と仙田君でダブルチェック済みだから基本問題ないとは思うんだけど、念のためのトリプルチェックを安斎君にもお願いしたいんだ」
「 "ver.13" って、もう12回も修正してるってことですか!?」
「そうだよ、梱包箱のデザインチェックって、結構、重い仕事なんだぜ?」
梱包箱の裏面の記載か……
今まで、あまり注意して見たこともない。
こんな小さな部分にも、メーカーの人たちの多大な努力があったのか。
「でも、これって、海外営業部の仕事なんですか?」
頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。