5年後に退職する新卒サラリーマン【第二章】 (6)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
3月30日。
安斎は、まだ「就職」していなかった。
おかしい。
この物語は、「5年後に退職する新卒サラリーマン」のはずだ。
第二章も、すでに5話まで終わったというのに、主人公・安斎響市はまだ「退職」どころか「入社」さえしていない。
第二章は「新卒1年目編」なのだが・・・彼は未だ「内定者」のまま。
何かが、
何かが狂い始めている・・???
そもそも、彼はこの後、30代前半までに4回も転職を繰り返し、周囲から「アイツはガチでイカレてる」と噂される進撃のジョブホッパー芸人となるので、そんなに心配などせずとも、彼の人生は狂いに狂いまくっていくのだが、そんなことは22歳の内定者の頃は知らない。
それよりも、目の前の問題は「入社式の前に無給で働かされている」この状況だった。
「内定者」や「無給インターン」の大学生を雑用みたいにこき使う会社も、世の中にはたくさんあると聞く。まだ内定者なのに、客寄せパンダのようにInstagramに写真をアップされたり、TikTokで踊らされる場合もあるらしい。
社会って、こんなもの?
これが普通なのだろうか?
分からない。
私には、何も分からない・・・
その日、株式会社L&Psの新卒内定者145名は、朝日が昇るよりも早く、朝4:45に社員寮の入り口に集合させられ、眠い目をこすりながらバスに乗り込んだ。
毎年恒例のイベント、オパンティーフェスティバルに参加するために。
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