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5年後に退職する新卒サラリーマン【第三章】 (1)
第一章 <激動の就活編> は、こちら。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編>は、こちら。
その男、チャラ澤は、実にチャラチャラした人間だった。
チャラ澤マサ彦、22歳。立命館大学法学部卒。大手メーカー・株式会社L&Ps(ラブアンドパンティーズ)の新卒入社同期・文系総合職のうちの1人である。彼とは、ローリング営業現場実習(通称・進次郎の乱)のグループがB班で、一緒だった。
彼も安斎と同じく、初日に2件の成約実績を挙げ、少し注目されたものの、その後は0件が続き、あまりパッとしない最終実績となっていた。
安斎は、気づいていた。
彼は、私と少し似ている。
きっと、彼も私と同じように、初日の時点ですでに研修内容に飽きてしまい、その後の数日は、手を抜いていたように思う。
無駄を嫌い、効率よく、コスパよく、最短で目的を達成する。彼はそういうタイプの人間だ。
安斎は、自分に近しい匂いを、チャラ澤から感じ取っていたのだ。
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あ、いや、
もちろん、「自分に近しい」というのはチャラさの話ではない。仕事の考え方の話である。
チャラ澤の本当の恐ろしさは、言うまでもなく、その圧倒的なチャラさにある。
その壮絶なチャラさと言ったら、たった2か月の新入社員研修中に同期の清楚女子を言葉巧みに口説き落とし、男子禁制のはずの「女子寮」の監視カメラになぜか全裸の姿で映っていたことから、人事部に緊急で呼び出され、「性活態度」について厳重注意されるという、完全なる「やらかし」っぷりであった。
座右の銘は、「君かわウィーーねッ」。
周りの同期たちからは「金玉が服を着て歩いている」とさえ言われている。
もし、この世にチャラリンピック世界大会があったら、彼が16種目くらい怒涛の金メダルを取りまくるのは確実だ。
一方の安斎は、この2か月の新入社員研修の間にすっかりとイジられキャラが定着してしまい、負けじと何か面白いことを言ってやろうとするも、だいたい100回のうち100回くらいはスベってしまい、あまりにも毎回、場をシーン……とさせてしまうため、「スベリ芸のスペシャリスト」という汚名を着せられてしまった。
もし、M-1グランプリに出場していたら予選敗退は確実だが、もし仮に、この世にスベリンピック世界大会があれば、私は「伝説」と呼ばれていたに違いない。
2人の生きる伝説、安斎とチャラ澤は、新卒1年目で地方に飛ばされた。
「夢の共演」の舞台は、広島県広島市。
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これは…「配属ガチャ」……??
いや・・・
新卒新入社員の「初期配属」の内容は、何か、不可思議な様相を呈していた。
東京・大阪・名古屋の大都市の支店と、兵庫県の本社、そしてお膝元ともいえる神戸の支店に配属された者たちまでは、まあ良いとして、それ以外の「明らかな地方」に飛ばされたのは、私を含めて、たったの11人だけ。
頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。