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5年後に退職する新卒サラリーマン【第五章】 (21)
第一章 <激動の就活編> は、こちらから。
第二章 <戸惑いの新入社員研修編> は、こちらから。
第三章 <空前絶後の広島出向編> は、こちらから。
第四章 <忍び寄る海外営業部配属編> は、こちらから。
「安斎君、アメリカ出張を舐めるなよ?」
まただ。あの「議事録の化身」モードのときのように、波多野さんは本気の顔つきになっている。
その姿はまるで、元ニューヨーク駐在員の血が騒いでいるかのようだった。
まるで、「邪眼の力を舐めるなよ」的な勢いだ。
いくらNetflixで大好評だからと言って、飛影はさすがに古い。
「あの、ですから…
出張申請書って、『出張目的』や『日程表』『訪問先』などをワードファイルのフォーマットにまとめて、管理職のハンコをもらいに行けばいいんですよね?
承認者全員からハンコをもらえたら、システムで正式な申請を上げて、飛行機の予約などをするんですよね? 前回、一通りやったので把握しているつもりではありますが…」
「安斎君、アメリカ出張を舐めるなよ?」
まったく同じセリフを繰り返す、波多野課長代理。
別に、耳が遠いわけではない。
彼はまだ42歳くらいだし、精神年齢はむしろ低め、若干ニューヨーカー気取りの中二病気質だ。
今の彼は、「出張申請の鬼」HATANO である。
そろそろ、邪王炎殺黒龍波が飛び出しそうだ。
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頂戴したチップで「餃子とビール」を購入させていただき、今後の執筆活動に役立てたいと思います。安斎に一杯おごりたい方は、ぜひチップをお願いいたします。