元飛込日本一選手が、ドラマホリック!『DIVE!!』第8話を見て書き殴った
この文章は現役ハイダイビング選手(元飛込日本一選手)から見た『DIVE!!』ドラマレポートです。
所々ネタバレや常軌を逸した(頭の悪い)表現が含まれます。
それでもOKであればぜひ最後までお読み頂けると幸いです。
(まとめる関係上、実際の流れてくるシーンとは違う順番で解説する場合があります。また、権利問題対策のため画像も控えめにしていきます...ご了承くださいませ...!)
〜INTRO〜 7話から8話の架け橋
第7話では選考会後の主人公3人の動向やコーチ陣の話し合い、知季の周りの人間関係が大きく揺れ動く回でした。
MDCから要一がオリンピック選手として選出。しかし本人は納得がいかず思い悩む。選び方や理由が腑に落ちない、わだかまりを抱えたままも練習に打ち込むも...
津軽に帰った飛沫は知季と要一に会うも、半ば飛込から足を洗う方向で考えを進める。瞳の奥にある炎はこのまま燃え尽きてしまうのか?
それぞれ思い思いに揺れ動く3人。帰路に立つ3人の決断は一体どうなる!?第8話での選択を目撃しましょう!
取り合い、兄弟の宿命
陵の離脱報告での喪失感も束の間、夜の街の街頭に照らされる未羽を抱きしめる弘也が視界に飛び込んできます。
短時間に衝撃的な情報を連続で叩き込まれた知季。なすすべもなく立ち尽くしてしまいます。目撃者の存在に気づいた弘也と未羽。気まずくなり逃げるように帰る未羽と知季。一体どういう事なのか?
神がかったタイミング
脳に焼きついた衝撃の事実を振り払うかのように自室でトレーニングをする知季。そこに台風の目である弘也が突入し、熾烈なレスバトルが始まります。
「やっぱり未羽のこと好きじゃないんだな。」
「未羽のことほんとに好きなんだったらもっと入ってこいよ!」
弘也から見た知季のずさんな付き合い方に居ても立っても居られなかったのでしょう。フォローに回り続けた弟は痺れを切らしました。
「未羽より友達の方が大事なんだな。」
私と友達とどっちが大事なの!?というもはや様式美のような問答を未羽の代弁として弘也が突きつけます。未羽を放置したまま津軽に遊びにいったことを追及。知季は友達(飛沫)が大変だったとは言うものの連絡くらいはできたはず。
ここで弘也が仕掛けます。
「俺、未羽のことが好きだ。」
「今度の日曜日告白するつもりだから。」
「俺の方が未羽のことを幸せにできる。」
ここまできたら真っ向勝負しかないと踏んだのでしょう。弘也の性格からして勝率のない賭けは出ないし知季に気持ちで負けない凄みがむき出しです。
後手に回り続け説得力皆無な知季。なんとか否定するも、とどめの一撃を胸ぐらを掴みながら言われます。
「未羽の誕生日がいつか知ってんの?」
「お前が津軽に行ってた日だよ...!」
なんも言い返せねぇ...
完敗です。完膚なきまでに知季のメンタルをフルボッコにしました。
ここまできたら未羽本人からビンタされながら捲し立てられてもおかしくないレベルです。しかし未羽の性格上そんなことはできない。
幼馴染として2人を見ていた弘也。毎回フォローに入っていた身からすればブチ切れるのも無理はない...
翌日の練習でも10mに立っているにもかかわらず放心状態の知季。
呆れた麻木コーチが練習を切り上げさせます。集中力ゼロの状態で飛ぶ10mほど危険なものはありません。
的確な判断
理由はどうあれ状態を見て一発で精神の異常を見抜く麻木コーチは相変わらず慧眼です。
「メンタル弱すぎ。」
いやーそれでもきついっす。知季は気が気じゃないはず。
恋が人を強くすることもあれば、人をダメにすることもある。
要一が飛込が彼女だと言って切り捨てた恋愛と言う感情。
気持ちの浮き沈みに関わる要因を排除した事はスマートにも思えます。
通学路で遠くから未羽を見つけてもお互い目を合わせることができない状態にまで...
限界を迎えた知季は再び練習を欠席してしまいます。
シャーペンの芯のようにボキボキ折れる知季のメンタルは再起する事はできるのでしょうか?
○ ○ ○
大きくなり続ける『雪だるま』
オリンピック選出後も気を抜かず練習漬けの要一。ここ最近の演技の感覚がいまいち掴めずスランプに陥っていました。何が原因かもわからぬまま飛び続ける日々。
水中で絶叫は飛込あるある
練習以外のメディアの受付は富士谷コーチが担当しています。オリンピック選出に対しての取材や水着メーカーとのコラボ商品の打ち合わせなど。オリンピックとなると周囲の反応はここまで違ってきます。
ある朝の富士谷家の朝食にてミズキ(MDCの大元スポーツメーカー)の会長といの会談が決まった事を富士谷コーチが告げます。そこで要一が珍しく不満を口に出します。取材を受けるよりも練習したいと。
しかしオリンピック選手の先人として父が説き伏せます。
「オリンピック代表選手は取材も、メディアへの露出も重要項目だよ。」
しかもクラブチームを潰そうとした張本人のような相手がオリンピックが決定した途端に掌を返して対応してくる部分も要一は気に入らない。
久々の富士谷家
しかし要一のお母さんも同意見です。メディアへの注目度が上がればMDCに回ってくる予算も増えて練習がしやすくなると。取材対応で得られる恩恵がここまで理解できているのも両親が元オリンピック選手と言う経歴の賜物とも言えます。
今までにない精神的な負荷を抱えたまま練習を続ける要一。スランプを抜け出せずにもがき苦しむ様子をプールサイドで富士谷コーチと小宮トレーナーが見守ります。見かねた小宮トレーナーがアドバイスをしないのかと富士谷コーチに持ちかけると「しませんよ。」ときっぱり。ここまで距離をとる理由を富士谷コーチは語ります。
あまりにも険しい道のり
「日本は今まで、オリンピックで誰もメダルを取ったことがありません。」
「あそこで活躍するには自分で課題を見つけて、自分でそれを乗り越える事。それくらい出来ないと。」
「オリンピックでメダルを取ると言うことは、そう言う事です。」
ここでオリンピックでの日本の競技成績を補足します。
今まで日本人選手が残したオリンピックでの最高順位は1936年ベルリンオリンピックで男子飛板飛込の柴原恒雄さんと女子高飛込の大沢礼子さんの4位が最高で、未だメダルは獲得できていないのが現状です。
その他の国際大会では何度も表彰台に登った選手はいますがオリンピックだけメダルの獲得経験がありません。
はたから見ればオリンピックに出場できるだけでも相当すごい事です。
しかし、皆さんはメダルを獲得したことがある選手以外で、パッと名前が出てくるオリンピック選手はいますか?
スポーツに興味があってファンとして応援している選手以外で思い浮かべるプレイヤーはいるでしょうか?スポーツをしている筆者でも自分の競技以外の選手は答えられる自信がありません。
それほどまでにスポーツ選手は何よりも結果を求められます。
どれだけすごい選手だったとしても成績が見えなければ一般人と変わりありません。どこにでもいる凡百の民衆です。
だからメディアに取り上げてもらえるか、目立った成績が残せるかどうかがスポーツ選手の生命線だと筆者は考えています。応援して観てくれている人がいて成り立つ。筆者自身も肝に銘じてスポーツをしていくつもりです。
○ ○ ○
とは言え、さすがにノーヒントは厳しすぎます。藁にもすがる様な気持ちで麻木コーチへアドバイスを求めに行きます。すると麻木コーチは要一の演技の修正点とクセを既に見抜いていました。
さらに要一のスランプの要因として精神的部分からきていることを指摘。
「他の誰かに用意されたレールの上にいる。そう感じてるんじゃない?」
要一は要一で知季とは違ったメンタルの異常を打ち明けます。
「幻の雪みたいなんです。」
「自分とは関係ない所でどんどん雪が降って、雪だるまが大きくなっていく...」
自分が関与していないところで自分の進む道が決められいく。さながら人が抵抗することができない自然現象のように。徐々に質量を増していく雪だるまで例えています。しかし本来の人の人生は自分で舵を切れるタイミングが必ずあるはず。
「あなたはあなたの雪を降らせて、自分で転がすの。」
「あなたが決めるの。あなたの人生を。」
「ほんと、手のかかる子達なんだから...」
捨て台詞を吐いて去っていく麻木コーチ。このアドバイスの果てに要一はどんな決断を下すのか?孤高のエリートは再起できるのでしょうか?
がむしゃらにトレーニングに打ち込む要一の背を富士谷コーチが見守ります。父として、またはコーチとして。ただ静かに。
○ ○ ○
津軽の男の選択
漁港の手伝いをしながらも伸び伸びと生活をしている飛沫。本格的に津軽での生活に戻ろうと話を進めています。度々映る恭子の意味深な顔が何かを物語っています。
恭子が帰ってくる時間に合わせて夕飯を用意していた飛沫。夕飯を2人で食べていると、ふと飛沫がこれからの未来予想図を展開し始めます。それは前回も話をした津軽での恭子との生活でした。
自信たっぷりに語る飛沫でしたが恭子がある一言を放ちます。
「その未来には飛込は登場しないの?」
その返答として
「俺は、ジジイみたいに飛込で人生を狂わせたくない。」
挫折から祖父と自分を重ねての判断でしょう。怪我で引退を余儀なくされ、何も残せず村に帰り、後ろ指を刺される人生になりたくないと。
しかし恭子は違った印象を持っていた様です。
「ほんとにそうかな?おじいさんの人生は飛込で狂ったのかな?」
「おじいさんの映像見てみないと、おじいさんの気持ちわかんないでしょ。」
「わたし、未練のある男は好きでねぇはんで。」
恭子には飛沫が飛込への気持ちが捨てきれていない事を既に見抜いていました。本当の気持ちとは逆の選択を選ぼうとしている飛沫に真面目に問いかけます。
恭子の一言に何も返せない飛沫。渡された映像をついに解禁します。
白黒の年代物の映像で飛沫の祖父が10mから飛び込んでいる映像が収録されていました。実際にこの年代の飛込の映像はかなり貴重だと思います。
試合で10mの高さから助走をつけて回転もせず、鳥の羽ばたきのようにのびやかで豪快な演技を披露。
伝説のダイブ
プールから上がると割れんばかりの歓声に包まれ、無上の喜びかのような顔で声援を浴びる祖父の顔を見て飛沫は衝撃を受けます。
同時に知季の言葉がフラッシュバックします。『また一緒に飛びたい。』さらにDVDのパッケージに同封されていた『私はいつでもMDCのプールにいます』と書かれたメモ書き。ここまできたら差出人は書かずともわかりますね。
夕暮れ時、沖津家の縁側でどっしりと構えていた飛沫。帰ってきた恭子に祖父のDVDを見た感想を伝えます。
「ジジイ、いい顔してた。」
そして以前恭子に提示した飽きのこない津軽の暮らしの考えは変わらないこと、しかし今は知季達とまた試合がしたいと思っていることを伝えました。
「もう一度あいつらと一緒に飛びたい。」
「まだ自分を全部出しきったわけではない。だからもう少し、やれるだけやって、負けるだけ負けて、気がすんだら帰ってくるよ。」
冨士谷コーチの直感通り、飛沫の炎はまだ消えていませんでした。
「勝つも負けるも良す。でっかい男になって帰っておいで。」
このやり取りにこの二人の関係性が集約されているなと感じました。野生児沖津飛沫。背を押されて再び勝負の地へ!
飛込バカに戻る時
メンタルをへし折られてふて寝を決め込む坂井知季。デジャヴ感しかない少年のもとに電話がかかってきます。
スマホには麻木コーチとかかれた着信画面。コーチからの電話ほど出たくない電話はありません。それでもまじめに受け取る知季の素直さは最早常人のそれを超えています。
ガチ面談
いつものカフェに呼び出される知季。待ち受ける麻木コーチ。
問いかけられる知季が今にも泣きそうな声で振り絞ります。
「弟に彼女を取られそうなんです...」
「は?」
「ばっかじゃないの?」
「そんなことしてると一番大切な飛込も失うわよ!?」
ここで正直に答える知季は逆に肝が据わっています。さすが4回半を飛ぶ男。そんなことより麻木コーチの反応が想像通りすぎます。
個人的な事情などお構いなしに飛込を最優先させるような言動にさすがの知季もキレました。
「コーチは俺がどうなったって飛込さえやってれば満足なんですね!?」
「えぇそうよ。」
「私は、あなたが弟に彼女を取られたって飛込さえしてれば満足よ。」
「だって飛込のコーチだもの。」
ぐうの音も出ない正論にもはや笑うしかありません。
麻木コーチがコーヒーのおかわりを貰うかと思いきやいきなりビールを頼み出します。
「今日はとことん話し合おうじゃない?」
なんてコーチだ...
○ ○ ○
「わたし、子供の頃天才だったの。」
いきなりの自信満々の発言に軽く引く知季。麻木コーチ曰く、幼い頃からどこをどう直したら上手くなるか直感的に分かったのだとか。それゆえに自分の上達できる上限も分かってしまった。
限界がわかってからは選手をきっぱりやめて指導者の道を歩んだ麻木コーチ。アメリカで指導者としての経験を積んでいる時に、前ミズキ会長の祖父から1人の少年を紹介してもらいます。
麻木コーチは少年を飛込の世界に引き込むために日本に帰国してきたそうです。その少年こそ沖津飛沫でした。
国内随一のサラブレッドの富士谷要一と飛沫を競わせオリンピック選手を生み出すのが当初の麻木コーチの目的でした。
これを聞いた知季は思わず自信を無くしたような反応をしますが、この話にはさらに続きがあります。拠点となるMDCのプール練習に見学した時に思わぬ計算違いがありました。
「全く完成されていない未熟な演技。しかし素質は天下一品。それが坂井知季、あなたよ。」
麻木コーチにとって要一や飛沫にも引けを取らないダイヤモンドの原石を偶然見つけた感覚だったのでしょう。まさに計算違いです。
何に価値を見出すかは人それぞれですが、兄弟幼馴染との恋模様とオリンピックへの可能性を天秤にかけた時、どちらがより貴重であるかは知季であれば結論は出せてしまうはず。
ここからの麻木コーチの怒涛のダメ押しが強烈でした。
「あなたはその小さな枠の中で生きるのがお似合いなのよ。」
知季が選んだのは...
○ ○ ○
下校途中に未羽に駆け寄って引き留める知季。お互い距離感を感じていた状況でしたが改めて話をしたいと知季が切り出しました。
いつもの公園のベンチで話し合う2人。お互いの幼少期の頃の話題で、知季が未羽のために必死な様子だったこと、その時が一番よかったかも...と寂しそうに未羽が思い出交じりにつぶやきます。
「トモ...私たち友達に戻ろっか」
「友達だった時の方が自分の気持ち、ちゃんと言えてたから!」
コミュニケーションがしたくても忙しそうな知季を気遣うばかりでずっと我慢していた未羽にも限界はあります。
付き合っていることによってほんとの気持ちを言えないのならこの関係を終わらせる選択を未羽は選びました。
「トモもさ、最後くらいちゃんと本音言ってよ。全然私の前じゃ自分の気持ち言ってくれないから。」
ここまで言われてようやく知季は今思っていることを話しだします。
今は本気で飛込をやりたくて、飛込のことで頭がいっぱいで、もっと練習して4回半を飛びたい!無理だと思ってたけど今はできる気がしてて!と今の気持ちを正直に伝えました。
「ほんと飛込バカだね。」
「自分でもそう思う。」
「もっと普段から本音で話せばよかったね。」
「俺もちゃんと自分の気持ち伝えるべきだった。」
ここにきてようやく本音で話し合えた2人。2人とも心なしか憑き物が落ちたかのような顔をしています。
この後も練習がある事を気遣う未羽に促されて、知季は精一杯の激励を受けて練習へと向かいます。
1人残された未羽。
「終わっちゃった...」
つらすぎてこの場面はこれ以上かけません...若さ故に人はすれ違うことも多々あれば...恋の終わりはいつだってしんどいです
まとめ
第8話は主人公3人の精神的な迷いや葛藤がかなり色濃く描かれていました。
一つ一つ選び取った選択が道となり、結果的にまた3人が一緒に練習ができるまでになりました。
知季と飛沫は完全に切り替わり戦闘態勢になりました。残る要一の心の問題、自分の人生を歩むためにどう選択するのか?
第9話の要一の決断に注目です。
そして、回を重ねるたびに3人の体が徐々に引き締まっていくのを見て筋肉マニアの筆者は密かに喜んでたり喜んでいなかったり。
見どころ満載のドラマDIVE!!第9話は2021年6月9日 0時です!お見逃しなく!
ここまで読んでいただきありがとうございます!
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